30代会社員のなおつんです。
このブログでは30代会社員の悩みを同じ会社員へ向け共有し、今日よりも明日へ一歩前進できるような記事を書いています。
今回は「企業型確定拠出年金(別名:企業型DC)」について投資の私が解説し、商品の選ぶ時のポイントについても紹介していきます。
私の勤める会社では、2017年から企業型確定拠出年金(以下、企業型DC)の導入が開始されましたが、日本でこの制度を導入する日本企業は年々と増えており、「企業年金連合」が発表している令和元年8月末までのデータによると、企業型DCの導入企業数は6,242社となっており、加入者数は約720万人にまで増加しています。

出典:企業年金連合
私は資産運用の実績もこのブログで公開しているので、気になる方は関連記事もご覧ください。
企業型確定拠出年金(企業型DC)とは
企業型DCを理解する前に、年金の全体像についてはじめに解説しておきます。
日本の年金制度の概要
日本の年金制度は「3階建て」といわれており、1階と2階の部分が「国民年金」と「厚生年金」であり、この2つは国が制度を設計し運営・管理しています。
一方で3階の部分は企業や個人で運用管理する年金制度となっており、主に「企業年金」「個人型(iDeco)」「企業型」の3種類に分類されます。
上の図のオレンジの部分が今回解説する「企業型確定拠出年金(別名:企業型DC)」です。
年金の制度設計は、会社員、公務員、個人事業者、被扶養者でそれぞれ違っていますが、今回は会社員に焦点を当てて解説していきます。
企業型確定拠出年金(企業型DC)は投資なのか?
「投資」という言葉を聞くだけで、

投資は損をしそうで怖い。
という方も多く中々手を出せない方もいるようですが、この制度は自分で購入する金融資産を選び、自分で運用するための制度ですので、「投資」をすることになります。
決められた商品から自分で選択して運用するというだけでもハードルが高そうですが、商品の中には元本保証の「定期預金」も選べるので、必ずしも投資商品を選ばなくても問題ありません。
以下の図は代表的な金融商品についてリスクとリターンの大きさを表したものです。
「絶対に損したくない」「投資はやっぱり怖い」という方は、元本が保証されている「定期預金」や「保険商品」を選ぶことも可能ですが、長期的な運用によって大きな収益を狙いたい方は、「投資信託」を選択して積極的に運用する事が出来ます。
投資信託の商品を選ぶポイントについては後で解説しますが、企業型DCは長期投資が前提になるので、多少リスクを負ってでも投資信託を選択して資産形成をしていく方が賢いといえます。
企業型確定拠出年金(企業型DC)の掛け金の出し方
企業型DCの掛け金は勤めるの会社が自分の口座に毎月拠出してくれるのが基本ですが、それに加えて従業員が追加で拠出する事が出来ます。
これを「マッチング拠出」といいますが、給料から毎月天引きする場合とボーナスから天引きする場合があり、会社によって様々です。
次のメリットの項で説明しますが、この従業員の掛け金の分は非課税となり所得控除を受ける事が出来ます。
企業型確定拠出年金(企業型DC)のメリットと特徴
企業型確定拠出年金の最大のメリットは「節税効果が高い事」であり、これに尽きるといってもいいといえます。
・運用益は非課税
・受取時にも優遇税制あり
・企業側の継続投資教育の努力義務
・その他のメリット
掛け金が全額「所得控除」になる
日本の所得税は、所得の大きさに応じて税金が高くなる「累進課税方式」が採用されています。
逆を言えば所得が低い人は支払う税金も少なくなります。
上の図のように、企業型DCの掛け金は「所得控除」として計算されるので、掛け金が多ければ課税所得が少なくなり、所得税や住民税を安く抑える事が出来ます。
年収400万円の人が毎月20,000円を企業型DCに積み立てた場合、年間で約54,000円の節税になります。
単純に計算して手取りの年収が5万円上がるのと同じだと考えると、この制度のメリットの大きさが理解しやすいと思います。
また、多くの会社では年末調整をしてくれると思いますが、この時に企業型DCへ拠出したお金を自動的に控除してくれるため、従業員がこの控除を受けるための特別な手続きは必要ありません。
運用益が非課税
毎月の掛け金は「定期預金」や「投資信託」などの商品を購入して運用する事になりますが、企業型DCを通して購入して得られた利益は非課税になります。
通常、証券口座で投資信託を購入して得られた分配金や売買利益には20.315%の税金が掛かりますが、企業型DCはこれが非課税となるので効率良く運用する事が出来ます。
受け取り時にも優遇税制あり
企業型DCは原則60歳から受け取りが可能ですが、受け取り時には「退職金控除」や「公的年金控除」などの税制優遇が受けられます。
上記は勤続年数や受取額によって変わるのでここでは詳しく解説はしませんが、税金が安くなる事のメリットは大きいです。
労働者の高齢化が進んでいる今では、これらの税金の法改正などがあるかも知れません。

受け取り時の税制優遇については、iDeCo(イデコ)の関連記事の中で詳しく解説しています。
企業側の継続投資教育の努力義務
企業型DCの制度を持つ企業は、制度に加入する従業員に対して投資に関する教育を継続的に実施していく努力義務があります。
つまりこの制度がある企業に勤めている会社員であれば、投資に関する教育を会社を通じて受けられるという事です。
私の会社でも年に1回は外部の講師が制度についての説明会を実施してくれており、同僚達はは興味深く聞いているので、将来に備えるという意識付けのためには有効な方法だと言えます。
また最近ではネット上で学習を完結できる「eラーニング」や、講師がオンライン上で講義を行うライブ配信なども主流になっているようですので、在宅勤務などでも手軽に受講が出来るようになりました。
その他のメリット
企業型DCの掛け金は基本的に会社が毎月拠出することになりますが、会社が万が一倒産しても積み上げた資産は従業員のものとして管理されていますので、会社の倒産によって企業型DCの資産がゼロになるという事はありません。
また、いまは企業型DCに加入しており、転職などでこの制度が無い企業で勤めた場合でも、この資産をiDeCo(個人型確定拠出年金)に移管する事で継続して運用する事も出来ます。
企業型確定拠出年金(企業型DC)のデメリット
次はこの制度のデメリットについても解説していきます。
・運用の責任は個人が負う
・掛け金は上限がある
・購入できる商品が限定される
原則60歳まで引き出せない
企業型DCは税金の面で非常に優遇されている一方で、積み立てた資産は原則60歳まで引き出しが出来ないので、資金が長期間拘束されることになります。
企業型DCを始めようと検討している方は、税金面のメリットだけを見て上限額一杯まで拠出する事はしないで、生活に影響のない程度の余裕のあるお金で拠出することが望ましいといえます。
毎月の生活がギリギリなのに無理して企業型DCに拠出し、いざという時に手元のお金が無かったとしても企業型DCからお金を引き出す事は出来ないので注意が必要です。
運用の責任は個人が負う
従来型の企業年金制度は会社が従業員に代わって拠出し運用をしてくれていましたが、企業型DCは運用は従業員が自分で運用の責任を負うため、運用によって資産が増えても減っても自己責任となります。
代表例として投資信託がありますが、この商品は元本保証が無いため運用成績によっては資産が減ってしまうこともありますが、会社が損失分を補填してくれることはありません。
この点については選ぶ商品を間違えない事と、金融庁も推奨している「長期・分散・積立」を徹底して行えばかなりリスクも低減できるので、自分である程度の知識を付けてから始める必要があります。

商品の正しい選び方は後でも解説していますし、このブログの別の記事でも何度か紹介しています。
掛け金は上限がある
拠出出来る掛け金には企業が採用している制度によって上限が決まっており、以下は掛け金の目安を示している表です。
企業型DCのみを採用七ている企業の場合は、年間660,000円なので毎月55,000円まで拠出ができて、その企業独自の年金制度がある場合は年間で330,000円まで、つまり1ヵ月当たり27,500円までとなっています。
上記の金額は企業が「マッチング拠出制度」を採用している場合は、従業員の掛け金と会社の掛け金の合計額が上限となっています。
例えば企業型DCと企業年金を併用している場合(表の下の場合)で企業が毎月5,000円拠出してくれる場合、従業員が拠出できるのは1ヵ月あたり22,500円までとなります。
以下の図はマッチング拠出の例です。
購入出来る商品が限定される
企業型DCの制度を活用して購入できる商品には「定期預金」や「投資信託」などがありますが、実は全ての商品を選べるわけではなく、実際に購入できる商品は会社が企業型DCの管理を業務委託している金融機関によって大きく変わります。
例えば、従業員がとある銘柄の投資信託を購入して運用したいと思っても、委託先の金融機関がその商品を扱っていなければ選ぶことは出来ません。
提携する金融機関は企業が選ぶので金融機関によっては自分の買いたい商品が無く、運用商品が限定されるのがデメリットです。
私がつみたてNISAで購入すべき商品を解説する記事でおすすめしている「eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)」や「eMAXIS Slim 米国株式(S&P 500)」などは取り扱っていない場合が多く、企業型DCの限定的な商品の中から選択する必要があります。
企業型確定拠出年金(企業型DC)は実際儲かるの?
企業型DCが実際に儲かるかどうかを気にしている人は多いと思いますので、結論から言うと、

結構儲かっています。(今のところは)
2021年7月現在の私の運用成績は以下のようになっています。
上の折れ線グラフで「取得価額累計」というオレンジの線が実際に投資した金額で、「資産評価額」という緑の線が現在の資産残高です。
ほぼ一直線のオレンジの線に対して、緑の線が大きく上がっている事が見て分かると思います。
新型コロナウイルスのパンデミックによって一時的なマイナスになっている時期もありましたが、現在では大きな利益を出しながら運用が出来ています。
実際に私が企業型DCで購入しているのは、以下の3つの商品です。
インデックスコレクション(国内株式)
インデックスコレクション(外国株式)
他にも「リサーチ・アクティブ・オープン(確定拠出年金向け)」や「野村世界REITインデックスファンド(確定拠出年金向け) 」などといった商品のラインナップがありますが、私が見たところ本当に購入しても良いと思えるのは上記の3つのでした。
注意点は商品名に「確定拠出年金向け」と書いているにも関わらず、長期投資には向かない商品が堂々と存在している事に驚きます。
商品選びのポイント
では企業型DCを運用するにあたってどんな商品を選べば良いか、商品選びのポイントを解説します。
ちなみに、この商品選びの前提は、

ある程度リスクを取って、長期的に高い収益を狙いたい。
という方へ向けての解説になるので、「投資は怖くてできない」「絶対に損はしたくない」という人は、元本確保型の「定期預金」「保険商品」での運用をおすすめしています。
企業型DCの商品で投資信託を選ぶべきは、以下の3つに該当するものです。
・ノーロードの商品(購入手数料0円)
・信託報酬(手数料)0.1~0.2%の商品
以上の3点をクリアする商品であれば、失敗が少なく長期的にはそこそこの運用益が出せる事が期待できます。
全世界株式に投資するインデックスファンド
金融庁が2019年に発表して話題を呼んだ「老後2,000万円問題」のレポートには、投資は「長期・分散・積立」する事が重要という事が書かれています。
個人が投資をする上での基本的な考え方を金融庁がアドバイスしており、これを忠実に行えば高いリスクを抑えながらも長期的にある程度の運用益を出せる事を示しています。
企業型DCで商品を選ぶ時には、全世界の株式に投資し「株価指数」に連動するインデックスファンドを選択する事が良いと考えています。
「株価指数」というのは、日本では「日経平均株価」や「TOPIX」にあたるもので、ニュースなどで聞いた事がある人も多いでしょう。
全世界株式の指数で有名なのは「MSCIコクサイ・インデックス」や「FTSE全世界株価指数」などです。
投資信託の商品概要にこれらの言葉が出てきたら、それが全世界株式に投資している商品となります。
逆に長期投資で選んではいけないのが「アクティブファンド」と呼ばれるものです。
アクティブファンドは短期的に見れば高い収益を出している商品もありますが、10年以上の長期的に見ればほとんどの商品がインデックスファンドの運用成績に勝てなかったという研究データもあるほどです。
ノーロードの商品
「ノーロード」を直訳すると「負荷が無い」という意味ですが、投資信託を購入する際には「購入時手数料」と「売却手数料」が掛からない商品を選ぶ事をお勧めします。
購入時にお金が掛かる投資信託は今でもかなり販売されていますが、長期的な視点で考えると手数料が運用益に与える結果の差は非常に大きくなります。
現在ではこのノーロードの投資信託の商品も多く存在しており、企業型DCでも気軽に選ぶことが出来ます。
インデックスコレクション(国内株式)
インデックスコレクション(外国株式)
私が毎月積み立てて購入している上記の商品は全て「ノーロード」の商品です。
信託報酬(手数料)0.1~0.2%の商品
購入時と売却時に発生する手数料以外にも掛かる費用が「信託報酬」です。
投資信託はまとまったお金をファンドマネージャーが運用する仕組みになっており、信託報酬はそのファンドマネージャーに支払う手数料の事です。
この手数料は運用している間はずっと発生するコストになり、長期的な運用成績には大きな影響を与えます。
企業型DCで購入できる商品であっても信託報酬が1~2%というかなりコストが高めの商品も存在しています。
最近のインデックスファンドでは信託報酬が0.1~0.2%という超コストの商品も増えてきていますので、これらの商品を選ぶのが賢い選択といえます。
もし企業型DCの商品ラインナップに信託報酬がここまで低い商品が金融機関になければ、せめて0.5%以下くらいまでの信託報酬を基準に商品を選ぶと良いと思います。
企業型DCで購入したい商品が無い場合は、、、
「購入時手数料がゼロ」「ノーロード商品」「信託報酬0.2%」という商品を購入したいけど、会社が用意している企業型DCの商品の中にこれらの条件に当てはまる商品が無い場合はどうしたら良いでしょうか。
これは稀にあるケースのようですが、従業員から会社に対して商品を改善するように要望を出す場合もあるそうです。
会社に労働組合があればそこに要望を出しても良いですし、総務部を通して金融機関へ要望を出すのも良いと思います。
これらの要望を出すには会社の風土や人間関係が影響したり、直接業務に関係ない事を総務に訴えるなどのエネルギーがそれなりに必要ですが、それでも将来の自分の老後資金だと考えると、あまりにもひどい商品しかない場合は要望を出してみるのも良いと思います。
社内で同じことを考えている仲間や同僚がいると、より交渉がやりすいかも知れません。
さいごに
ここ数年で急に「これからは投資だ!」と世間で叫ばれているかの理由をしっかり考えた事がある人も少ないと思いますが、これまでの日本の社会は60歳定年までしっかり働けば、公的機関からの保障によって老後は安心して過ごすことが出来ました。
定年退職後に受け取れる年金などの資産は国が管理して運用する事で、国民の生活を支えてきた側面があります。
それが今の日本も時代が変化し「少子高齢化」や「定年延長」などの社会問題が表面化した事から、国としては「もうこれ以上は国民の面倒を見きれない」というのが本音だと思います。
そのため「企業型DC」「NISA」「iDeCo(イデコ)」などの制度を充実してきた背景には、リスクを国民に少しずつ負わせて、自分で自分の将来に備えさせるという事をしたいのかも知れません。
これらの制度は今でこそインターネットで簡単に情報は得る事が出来ますが、それでも知らず知らずのうちに国民が自己責任で資産運用をさせられている現状もあります。

お金の勉強をしないと知らない間に置いて行かれるので、私は皆さんの勉強の手助けをしたいです。
このような時代背景の中で自分自身を守るためには、投資について勉強して実践する事しかありません。
現状の企業型DCの制度のメリットとデメリットでは、圧倒的にメリットは大きいですし、うまく活用すればそれらにの成果を出す事も期待できます。
この制度が今後はどうなるかまでは分かりませんが、その時代にあった生き方と制度の使い方が全国民に求められる事はほぼ間違いなさそうです。
このブログでは会社員や学生さんの役に立つ情報や考え方を発信しています。
ぜひ興味があれば別の記事を読んでいただきお役に立てればと思います。