30代会社員のなおつんです。
このブログでは30代会社員の悩みを同じ会社員へ向け共有し、今日よりも明日へ一歩前進できるような記事を書いています。
警察庁の発表では「特殊詐欺」の被害件数は年々増加傾向にありますが、全てを防ぐ事は難しいのが現状です。
私たち一般人が詐欺から身を守るには、詐欺について徹底的に勉強する事が一番だと私は考えています。
今回は最新の詐欺の手口とその対策についてまとめました。
特殊詐欺とは
警察庁が定義している「特殊詐欺」とは、被害者に電話をかけるなどして直接対面せずに信頼させ、指定した預金口座への振り込みを促したり、不特定多数の人から現金をだまし取る犯罪の総称の事をいいます。
近年ではその手口がさらに巧妙化しているため、詐欺グループと警察の取り締まり強化の「いたちごっこ」状態が続いています。
また警察庁では特殊詐欺を以下のように分類化しています。
・預貯金詐欺
・架空料金請求詐欺
・還付金詐欺
・融資保証金詐欺
・金融商品詐欺
・ギャンブル詐欺
・交際あっせん詐欺
・その他の特殊詐欺
・キャッシュカード詐欺盗
具体的な手口と対策については後で解説します。
特殊詐欺の傾向をデータから読み解く
特殊詐欺の件数と傾向はどのようになっているか分析しました。
特殊詐欺検挙件数と被害総額の推移
平成16年から令和2年までの特殊詐欺の検挙件数と被害総額の推移を表したグラフです。(令和2年は1~8までの累計の数値)
検挙件数は平成23年に一度下がりましたが、その後は年々上昇傾向にあります。
その一方で被害総額については、警察の取り締まり強化が功を成したためか、減少傾向です。
特殊詐欺 1件あたり、1人あたりの被害総額
前項のグラフで特殊詐欺そのものは増加傾向にありますが、「詐欺1件あたりの被害額」と「検挙された詐欺師1人あたりの被害額」を示したグラフです。
特殊詐欺全体の検挙1件あたりの被害総額は、平成16年が一番高く約2,100万円で、一番低かったのは平成21年の約160万円です。
令和2年のデータでは460万円となっており、単純計算だと1件詐欺被害が起きると460万円の被害が出ている事になります。
また、詐欺師一人当たりの被害額は令和2年のデータで1,100万円です。
特殊詐欺別 検挙件数の割合(令和元年)
最初に説明したように特殊詐欺にはいくつかの分類分けがされていますが、分類別の検挙件数の割合は以下のグラフのようになっています。
グラフを見て分かるように「オレオレ詐欺」が全体の4割以上を占めています。その次が「キャッシュカード詐欺盗」で約2割を占めています。
令和元年の総検挙件数が7,650件となっており、オレオレ詐欺だけで3,274件の検挙数となっています。
特殊詐欺別 被害総額の割合(令和元年)
次は被害総額をベースとした時の分類別の割合です。
令和元年の被害総額が約352億円となっており、そのうち33.4%の約117億円がオレオレ詐欺の被害金額となっています。
次に多いのが架空料金請求詐欺の28.0%で約98億円、キャッシュカード詐欺盗は16.8%で59億円の被害金額です。
特殊詐欺の手口と対策
ここからは各特殊詐欺の手口とその対策について解説します。
オレオレ詐欺
特殊詐欺の中でも被害金額、被害件数ともに首位であるのがオレオレ詐欺です。
ニュースなどでは何度も報道されているので、「詐欺=オレオレ詐欺」といっても過言ではなく、警察庁が公開している文書などでも「オレオレ詐欺」という言葉を使っているほどです。
警察庁はこの詐欺を、「親族、警察官、弁護士等を装い、親族が起こした事件・事故に対する示談金等を名目に金銭等をだまし取る(脅し取る)ものをいう。」と定義しています。
この手口はあまりにも有名になったので、「今さら騙される方がおかしい!」という世間からの厳しい意見もありますが、被害に合った当の本人は「声が息子にそっくりだった」とか「久しぶりに息子から連絡が来て嬉しかった」などと思い込んで騙されてしまうようです。
これの対策としては、日頃からのコミュニケーションが大事なのは言うまでもありませんが、家族の中で「合言葉」を決めておくことが重要だと警察庁は啓蒙しています。
預貯金詐欺
預貯金詐欺とは、「親族、警察官、銀行協会職員等を装い、あなたの口座が犯罪に利用されており、キャッシュカードの交換手続きが必要であるなどの名目で、キャッシュカード、クレジットカード、預貯金通帳等をだまし取る(脅し取る)ものをいう。」と定義されています。
先ほどのオレオレ詐欺と手口は似ていますが、預貯金詐欺は詐欺グループの一員が実際に被害者に会うなどしてキャッシュカードなどを入手し、口座から現金を引き落とすなどの犯罪を行います。
従来まではオレオレ詐欺の中に包含されていましたが、件数や金額が大きくなってきた事から令和二年から別の詐欺手口という事で認識されています。
この詐欺から守るためには、登録された番号以外からの電話を自動で録音する設定にする事です。
犯人は電話を録音されることを極端に嫌うため、録音機能があれば設定をする事が効果的です。
もし電話に自動録音機能が無い場合は、常に留守番電話にしておく事で万が一犯人からの電話であっても冷静に対処出来るようになります。
架空料金請求詐欺
これも有名な詐欺の手口ですが、「未払いの料金があるなど架空の事実を口実とし金銭等をだまし取る(脅し取る)ものをいう。」と定義されています。
被害者への連絡方法は電話以外にも、SMSやメールなどになるので電話の設定だけでは防げないケースもあります。
この詐欺を防ぐには、詐欺グループから配信されてくるメール文面の傾向とパターンを知る事で冷静に判断する事が出来ます。
以下、警察庁が公開している詐欺グループがよく使うメール文面の内容です。
「無料期間が経過したが退会手続がとられていない」
「訴訟手続を開始する」
「差し押さえの強制執行手続をとる」
「お客様の端末情報が登録された」
「本日中に支払えば間に合う」
「延滞料金は毎日加算されていく」
「連絡がない場合、裁判になる」
「当社ではお客様の端末情報を入手している」
使われている脅し文句の傾向とすると、「裁判になる」や「今すぐに○○しないと」といって被害者に冷静さを失わせる手口が多いと考えられます。
こういう時こそ警察を頼るなどして、被害を未然に防げるようにしたいものです。
還付金詐欺
新型コロナウイルス感染症が流行ってからは、政府からの給付金などを使って詐欺を行う手口が表沙汰になりました。
この詐欺における警察庁の定義は、「税金還付等に必要な手続きを装って被害者にATMを操作させ、口座間送金により財産上の不法の利益を得る電子計算機使用詐欺事件又は詐欺事件をいう。」とあります。
簡単に説明すると、「払い過ぎた医療費が戻るので、申請のためのお金を振り込んでください。」などといってお金をだまし取る犯罪です。
被害者をATMの前に行かせて操作方法を指示する事もあるようです。
これを防ぐ方法は、自治体や公的機関の職員が「お金を払ってください。」と直接言ってくる事は無い事を覚えておくのと、少しでも不審に思った場合は、一旦電話を切り直接自治体などに問い合わせる事です。
「ATMでお金が戻ってくる事は絶対にありません。」と警察庁も強く訴えています。
融資保証金詐欺
融資保証金詐欺は検挙件数と被害総額が全体と比べて大きくはありませんが、1件あたりの被害総額が約500万円(令和元年)と多額である事から悪質性の高い犯行といえます。
警察庁はこの詐欺について、「実際には融資しないにもかかわらず、融資を申し込んできた者に対し、保証金等の名目で金銭等をだまし取る(脅し取る)ものをいう。」と定義しており、被害者に低金利でお金を貸す事などをエサに、保証金などの名目でお金をだまし取る犯行です。
ダイレクトメールで送る犯行手口が多いようです。
この手口も詐欺師が良く使うフレーズを覚えておく事で防げる可能性が高くなります。
「簡単な審査で融資可能」
「担保不要」
「○○万円まで即日融資可能」
「簡単な手続ですぐにでも融資が受けられる」
「安い金利で、多くの融資が受けられる」
貸金業という業種があるので、これだけでは違法性は低いですが、被害者が実際に融資を申し込んだ時に、
「返済の信用実績を作っておく必要があるので、先に○○万円を振り込んでください」
「保証料として、●●%分の○○万円を振り込んでください」
と言ってお金を先に払わせる方法が主な手口です。
融資保証金詐欺は件数的には多発している詐欺ではありませんが、怪しい会社からのダイレクトメールには迂闊に手を出さない事です。
金融商品詐欺
警察庁の定義では「架空又は価値の乏しい未公開株、社債等の有価証券、外国通貨、高価な物品等に関する虚偽の情報を提供し、購入すれば利益が得られるものと誤信させ、その購入名目等で金銭等をだまし取る(脅し取る)ものをいう。これら金融商品に対して、購入意思のない被害者に名義貸しをさせた後、名義貸しをしたことによるトラブル解決名目等で金銭等をだまし取る(脅し取る)ものを含む。」としています。
この犯行手口は大きく以下の2つに分けられます。
1、「この会社の株は将来間違いなく価値が上がる」や「あなただけに特別な投資案件がある」といって嘘の投資を持ち掛ける手口
2、「パンフレットをもらった人しか買えないので、名義を貸して欲しい」といって名義を貸した後に、別の人物から「名義を貸すことは違法だ」「解決するために弁護士を雇うので○○円振り込んでくれ」といってお金をだまし取る手口
最悪の場合だと2度も騙されることになるので相当悪質な犯行ですが、守る方法としては投資については安易に手を出さない事が良いでしょう。
金融商品や投資の詐欺は、金銭的に多少の余裕があり欲の深い人が非常に狙われやすい詐欺である事を覚えておくといいと思います。
ギャンブル詐欺
ギャンブル詐欺は、「不特定多数の者が購入する雑誌に「パチンコ打ち子募集」等と掲載したり、不特定多数の者に対して同内容のメールを送信する等し、これに応じて会員登録等を申し込んできた被害者に対して会員登録料や情報料等の名目で金銭等をだまし取る(脅し取る)ものをいう。」と警察庁は定義しています。
これは文面を見て何となく犯行のイメージが出来るかも知れませんが、「会員になれば登録料なんてすぐに取り返せるよ」などと言って、被害者を実際にはありもしない会の会員にさせて後はトンズラするといった犯行です。
「儲かる」という言葉に弱い日本人は非常に多いと思います。
目の前に現金を見せつけたり、楽に儲かる話をして被害者を惹きつけて騙す手法は詐欺において定番中の定番です。
楽して儲かる話はこの世にはありません。もしあったとしても一般人にはそんなウマい話は来ません。
交際あっせん詐欺
「不特定多数の者が購入する雑誌に「女性紹介」等と掲載したり、不特定多数の者に対して「女性紹介」等を記載したメールを送付するなどし、これに応じて女性の紹介等を求めてきた被害者に対して会員登録料金や保証金等の名目で金銭等をだまし取る(脅し取る)ものをいう。」というのが警察庁の定義です。
警察庁のデータによると、この詐欺被害者の94.1%は男性である事が特徴です。
また、被害者の年齢層も50~59歳が29.4%と一番多く、その次は60~64歳の17.6%、同列で40~49歳の17.6%となっており、中高年だけで6割以上の被害を占めています。
犯行の手段は、雑誌やインターネットの記事で「女性紹介します!」や「会員登録したらすぐに会えます!」といってサイトなどに被害者を呼び込み、女性とインターネット上で出会わせて何度かメールでやり取りさせます。(相手の女性は実は男であるケースもあるようです。)
後日そのサイトの事務所と名乗る人から連絡があり、「女性があなたの事を気に入っているので、相手を保留しておくための保証金が必要です。」とお金を要求するのが犯行の手口です。
女性と出会うために会員になる必要があると嘘を言い、そのためのポイントを高額で購入させたり、女性とデートするだけでお金が貰えるといった犯行の手口の例もあるようです。
その他の特殊詐欺
その他の特殊詐欺は「上記特殊詐欺の類型に該当しない特殊詐欺をいう。」とありますが、具体的な事は書かれていなかったのでここでは省略します。
キャッシュカード詐欺盗
最後はキャッシュカード詐欺盗ですが、「警察官や銀行協会、大手百貨店等の職員を装って被害者に電話をかけ、「キャッシュカードが不正に利用されている」等の名目により、キャッシュカード等を準備させた上で、隙を見るなどし、キャッシュカード等を窃取するものをいう。」という犯行手口です。
先ほどの預貯金詐欺などでキャッシュカードをだまし取る手口と似ていますが、被害者のキャッシュカードなどの現物を偽物とすり替える犯行であるため、やり口が非常に巧妙です。
詐欺師は銀行員や警察官を名乗ってくることもあるので、うっかり信用してしまいそうになるところがポイントです。
対策としては、まずはキャッシュカードを安易に第3者に渡さない事も必要ですが、銀行員や警察官に対しては身分証の提示を求めるようにしましょう。
さいごに
インターネットで詐欺の事件を見ると、手口がどんどん巧妙化している事が見て取れます。
被害者の中には「人に言われるまで騙されたことにすら気付かなかった」という人もいるくらいなので、詐欺グループの一員も外見や態度には相当気を使っていると考えられます。
逆に考えると、周りを見渡してみて感じがいい人や愛嬌がある人すらも詐欺師に見えてきてしまって誰も信用できないという事にもなりかねません。
詐欺を防ぐのは自分自身だけではなく、自分が詐欺防衛の知識を付ける事で自分の家族に対しても守ってあげる事が出来ます。
「知る事=守る事」と考えて詐欺について勉強してみる事をお勧めします。
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