30代会社員のなおつんです。
このブログでは30代会社員の悩みを同じ会社員へ向け共有し、今日よりも明日へ一歩前進できるような記事を書いています。
近年は「若者の車離れ」が叫ばれており、車は所有するものではなくシェアするものという価値観が広がっています。
これをうけて都心部では「カーシェアリング」というサービスが主流化してきており、「Times」「careco」「ORIX」などがこのサービスを展開しています。
一方で「自動車を持っているけど使わない人」と「自動車は持っていないけど使いたい人」のマッチングをさせる事業者や、顧客に自動車を購入させて運用し、利益の一部を自動車オーナーに還元する「カーシェア投資」という言葉も聞かれるようになりました。
今回はこのカーシェア投資の事業者が資金繰りに困り事業撤退をしたというニュースが話題になったので、カーシェア投資の実態と現状を個人投資家の私が調べたので解説していきます。
カーシェア投資とは?
カーシェア投資とは、先ほどのカーシェアリング事業者が顧客に自動車を購入させて、それを買い取りなどしてカーシェアリングさせた利益を顧客へ分配する投資スキームです。
顧客は自動車を購入して、それを自分で使用するのではなく、事業者に預けておくだけで手間が掛からずに配当金が毎月貰える仕組みです。
自動車の購入者はローンを組んで購入する場合もありますが、毎月配当金が入って来るのでそのお金でローンの返済も出来るというのが業者の謳い文句でした。
カーシェア投資の問題点
通常、私たちが自動車を購入すると自動車本体と車検証などを手にする事ができます。
今回のニュースになったカーシェア投資では、自動車の購入者は自分で購入した自動車を見た事もなければ乗った事もありません。
上の図は主な契約の条件だったようですが、業者からは車検証すらも送られてくる事はなく、任意保険の保険証のみだった事が発覚しました。
今回の購入者は2020年3月にこの契約を業者と取り交わし、数カ月は順調に配当金も振り込まれていたようですが、同年8月に突然振り込みがされなくなったようです。
業者からは「コロナの影響で資金繰りが悪化したため、来月にまとめて支払います」というような返事があったそうですが、10月に業者が突然の事業停止を発表したようです。
ここでこのスキームの問題点をいくつか整理すると以下の事が挙げられます。
購入した自動車は実在するのか
ニュースの記事を元に推測すると購入した自動車はどうやら実在したようですが、自分が購入した車両がどれなのか、また、車両の実態が無いものを購入させられた人もいる可能性が高まっています。
カーシェア投資事業者の駐車場には約240台の車両はあったようですが、車検証に記載された所有者欄が誰のモノになっているかは明らかになってはいません。
恐らく、この事業者が所有者として管理されていると思われ、その場合車検証の「所有者」と「使用者」どちらの欄にも投資家の名前は出てこないばかりか、投資家は何を購入したのかすら不明な状況でローンだけを支払わされることになります。
自動車の購入価格が適正であったか
購入した自動車が業者が所有するものだった場合、もともと資産価値の低い自動車を高値で購入させた事も疑われています。
今回の購入者は自動車の実物を見たことないという事だったので、「高級車」という言葉につられて価値の低いものを交わされた可能性もあります。
購入者の無知に付け込んで自動車を高額で買わせればそれだけで利益を上げられる事が出来ます。
自動車の運用の実態はあったのか
そもそもこの業者がカーシェアリング事業を行っていたのかという事すらも実は明らかになっておらず、これから調査が進めばニュースにもあると思います。
万が一業者がカーシェアリングを行っていないのであれば、悪質性が一気に高まります。
購入者が投資のリスクとリターンをどのくらい理解していたか
購入がどの程度投資に関しての知見があったかは分かりませんが、1,000万円の買い物をするという事は、表面上はかなりウマい話を業者から持ち掛けられたのだと想像が出来ます。
投資というのはリスクとリターンの関係ですから、高いリターンにはそれなりのリスクが伴います。
自動車の購入者がこれを理解して投資に踏み切ったとは考えにくいです。
業者の財政破綻時などの保証はどのように担保されていたか
投資のリスクとリターンの話に関連しますが、投資家は「最悪の場合どうなるか」という事をいつも考えます。
今回のカーシェア投資に関しては、最悪の場合に備えて契約書には「自動車が返って来るのか」「配当金の保証はされるのか」などが明記されていたかどうかは怪しいところです。
カーシェア投資のリスクとリターン
今回ニュースになったカーシェア投資のリスクとリターンを計算してみました。
公開されている情報から計算しているので、不正確な部分もあるかも知れませんがご理解ください。
リターン(投資利回り)
例えば投資元本が1,000万円で毎月の配当金が15万円だった場合、投資利回りは、
となりますが、これ以外にも契約時に10%の謝礼をもらっているので、利回りはもっと高くなります。
株式や債券などの投資利回りはせいぜい3~5%程度ですので、このカーシェア投資の18%という利回りは非常に高いといえます。
実際はここからローンの金利を差し引く事で本当の利回りは計算出来ますが、それでもかなり高いリターンといえます。
リスク
次にリスクの想定ですが、業者が経営破綻しても購入した自動車が返ってくる場合、まずその自動車の資産価値がどのくらいあるかがポイントになります。
ニュースで出ていた記事を元にすると1,000万円で購入した自動車の資産価値は200万円程度だったようです。
これでは購入した時点で800万円の含み損になっており、この800万円の損失を150万円の配当金で埋めるには単純計算で5~6年程度掛かります。
これはあくまでも自動車が手元に返ってくる場合ですので、もし帰ってこなければさらに厳しい条件になりますし、どちらにせよローンだけは残るため借金の支払いだけはしなければいけません。
配当と利回りだけで見れば良い投資に思えますが、リスクとの両方で見た時に全然割に合わない事が分かります。
カーシェア投資は投資と呼べるか
繰り返しになりますが、投資家はリスクとリターンで投資の良し悪しを判断します。
これを踏まえるとカーシェア投資はリスクとリターンが見合っておらずに投資とは程遠い存在にあります。
まだ明らかになっていない業者の実態と今後の対応によっては救済できる可能性もありますが、その可能性は低いと私は考えています。
自動車をカーシェアリングして儲かる全うな事業であれば、通常は会社が自動車を購入して自分達で所有して運用した方が利益は上がるためです。
それをわざわざ他人に購入させて配当金を払うなんて効率が悪すぎます。
つまり儲かる話を他人に教えるわけがなく、自分で完結させた方が良いというのが常識です。
あえて儲け話をしてくるのはほとんど詐欺に近いビジネスと考えて良いと思います。
まとめ
「投資で成功するためには才能ではなく考え方と勉強」と誰かが言っていたのを聞いた事があり、この言葉は真実だと思います。
投資については勉強していないとすぐに騙されますし、周りにはそれだけ悪質な業者もいるという事です。
ウマい話で顧客を集めてお金をだまし取る手法は、時代が変わってもいろいろと名前を変えながら無くなりません。
今回のケースはまだ詐欺だとは断定は出来ませんが、詐欺の事件で警察が動くのは被害にあってからずっと後になりますが、当の被害者はすでに多額の被害に実際にあっているため遅れになる事も多いです。
これを防ぐには自らが情報を集めて知識武装するしか手はないのが現状です。
このブログでは会社員や学生さんの役に立つ情報や考え方を発信しています。
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