30代会社員のなおつんです。
このブログでは30代会社員の悩みを同じ会社員へ向け共有し、今日よりも明日へ一歩前進できるような記事を書いています。
今回は日本の大手旅行業「株式会社JTB」について決算内容がホームページに公開されていたので記載内容を抜粋しながらこの会社を紹介したいと思います。
JTBグループは直近の年間売上高が1兆2,885億円と大手企業にも引け劣らない大企業ですが、非上場企業のためEDINETに有価証券報告書などの決済情報は公開されていません。
2020年7月8日のYahooニュースで「旅行の需要コロナで激減 JTBが冬ボーナスゼロ」というニュースが取り上げられていました。
旅行業界はもともと業績が景気に左右される業界のうえ、今回の新型コロナウイルスの影響のダブルパンチによってボーナス支給を見送るのは1989年以降では初めてとの事です。
そのくらい新型コロナウイルス感染拡大が及ぼす影響は大きく、政府がGoToキャンペーンも進めるなど今後の旅行業界には目が離せません。
GoToキャンペーンが詳しく書かれた記事はこちら⇒【速報】Go To トラベルキャンペーン、7月22日開始 事務局はツーリズム産業共同提案体に
「JTB」の事業内容
JTBというのはJapan Travel Bureauの頭文字を取ったもので、1963年に財団法人日本交通公社の営業部門を民営化し、株式会社日本交通公社として創業されたのが始まりでJTBと呼ばれたのは2001年からとなっています。(当時の正式名称は「株式会社ジェイティビー」)
元々は英米人に日本の真の姿を知ってもらうために「外客誘致論」を展開して1912年に「ジャパン・ツーリスト・ビューロー」として事業を起こしたのが発端ですので歴史的にみると戦前から存在する老舗企業です。
JTBと一言にいってもJTB本体はグループ会社(ホールディングカンパニー)として頭にJTBと付く会社法人を傘下にたくさん構えており、現在の連結子会社数は150社にもなります。
主な業態は国内・海外の旅行のパッケージツアーを販売する事業と時刻表や旅行雑誌を出版する出版業も行っています。
その他にもホテル、不動産、金融、情報サービスも幅広く手掛けている会社です。
直近の業績
最初にも少し触れましたが、2020年3月末決算時点の年間売上高は1兆2,885億円(対前期比で△5.8%)、経常利益25.4億円(対前年比で△15.5%)となっています。
しかし前期2019年3月決算時の当期純利益△151.1億円と比べて当期の決算では黒字化しており16.4億円の純利益が出ています。
これの理由は固定資産や株式などの有価証券の売却によって特別利益を約89億円ほど計上した事で純利益が黒字となっています。
固定資産や有価証券の具体的な内容までは公開されていませんでしたが、これらによって一時的に黒字化していると見てよいでしょう。
事業の収益効率を表す「売上高経常利益率」は直近で0.1%、前期でも0.5%となっており売上げに対して利益が薄い業種であります。
競合他社であるH.I.Sの過去の実績を見ても過去数年の経常利益率はわずか数%といったところです。
事業のリスク
新型コロナウイルスの感染拡大により各国で「緊急事態宣言」が発令されツアーのキャンセルやイベントの中止が相次ぎ、新規の予約旅行も大幅に減少しています。
しかし、しばらくはこの停滞が続くと予想されるものの2020年度末にはほぼ過年度の水準まで回復することを見込んでいます。
また、過去のSARS等の類似インシデント発生時以降の市場分析を参照すると、2021年度には需要の反動が大きく出ると予想していると記載されています。
中長期計画
JTBのスローガンは「感動のそばに、いつも。 Perfect moments, always」として、人々が自ら実際に体験や交流することで得られる「感動」を顧客に提供しています。
新型コロナウイルス終焉後の業績見通しは悪くないとしながらも、2021年3月期の業績予想については現時点で合理的な算定が出来ないため公開されている情報はありません。
特質すべき点とまとめ
・売上高と経常利益ともに減収減益の状況であるが、2020年3月末時点での当期純利益は黒字となっていて固定資産や有価証券などの資産の売却によって一時的に黒字化しているが今後しばらくは厳しい状況が続くと予想される。
・特需として政府が推し進めるGoToキャンペーンの効果にも期待したいが、消費者心理として外出を控える声も多い事やキャンペーンの推進のスピード感によっても左右される。
・本編では触れていないが、新型コロナウイルスの影響による不測の事態に備えた予備資金として大手銀行3社から1,400億円もの借り入れを行っている。
・バランスシート全体の資産残高は2019年度末の約6,963億円から2020年度末の約6,287億円と676億円程度減っているが、これの理由は現金同等の資産の減少と支払手形・未払金の負債減少がほぼ同額である事から負債の支払いのためと考えられる。
少し前に世界一の投資家と呼ばれるウォーレン・バフェットが航空株を売却した事が話題になっていましたが、私は仕事で海外出張などもあるため個人的には旅行業界にはこの危機を何とか乗り越えてもらい今後は期待したいです。
最後にひとこと、投資は自己責任で行いましょう。