【完全版】auAMレバレッジ・オールカントリー（レバカン）を専門家レベルで徹底解説｜2倍世界株の仕組み・リスク・指数乖離まで全網羅

auアセットマネジメントが提供する「auAMレバレッジ・オールカントリー」、通称レバカン。
本記事では、一般的な紹介では語られないレバレッジファンドの本質的なリスクと構造まで徹底的に深掘りします。

以下の内容は、レバレッジ型ファンドを理解するうえで必須の知識です：

• どのデリバティブで2倍を実現しているか
• レバレッジの“毎日調整”がもたらす見えない損失
• 指数よりも大きく下がりやすい理由
• 上昇相場で爆発的に増える複利効果
• 乱高下する相場で資産が痩せやすい「ボラティリティ・ドラッグ」
• 長期保有にはメンタル面の覚悟が必要になる理由

1. レバカンが採用している“デリバティブ”の仕組み

レバカンは現物株を2倍買っているわけではありません。
実際には、次のようなデリバティブを組み合わせて2倍を実現しています。

• 株価指数先物（MSCI ACWI先物）
• トータルリターンスワップ（TRS）
• CFD的な合成ポジション

これらの仕組みを使うことで、実際の資金より大きいポジションを持つ＝レバレッジをかけることが可能になります。

■ なぜデリバティブを使うのか？

• 株を2倍買うよりコストが安い
• 迅速なレバレッジ調整が可能
• 担保金（証拠金）だけで大きな投資ができる

この仕組みにより、レバカンは“毎日2倍の値動き”を目指す運用が可能となっています。

2. 毎日レバレッジを調整する理由（ここが超重要）

レバカンは「常に2倍」の状態を保つため、毎日レバレッジ比率を調整しています。

この調整には大きな特徴があります。

■① 上昇相場に強い

指数が上昇すると、ポジションも増えるので資産が複利で膨らみます。
いわゆる上昇相場での“加速効果”が発動します。

■② 暴落相場に弱い（回復に時間がかかる）

指数が大きく下がると、レバカンは2倍のスピードで減るため、
ポジションの“元金”が縮む状態になります。

このとき、翌日以降のレバレッジ調整は以下のように働きます。

• 減った資産 × 2倍 = 小さくなったポジション

つまり、戻りの強さが指数に対して弱くなるのです。

これが指数との“乖離”の正体です。

3. レバレッジ型ファンド最大の弱点「ボラティリティ・ドラッグ」

レバカンを語るうえで最も重要なのが、ボラティリティ・ドラッグ（揺れが大きいと資産が痩せる現象）です。

■ 簡単な例

1日目：+10％
2日目：−10％
指数はほぼ元に戻りますが、レバカンはこうなります。

レバカンは +20％ → −20％ なので、最終的にマイナスになります。

つまり、乱高下する相場ではレバカンは資産が痩せやすいという特徴があります。

4. レバカンとACWIの“長期リターンが必ずしも2倍にならない”理由

理由は次の4つです。

① 毎日のレバレッジ調整による調整損

レバレッジ比率を毎日戻すことで、指数との乖離が蓄積する。

② ボラティリティ・ドラッグ

乱高下するほど不利になる仕組み。

③ 信託報酬 + デリバティブコスト

レバレッジは現物運用よりコストが高い。

④ 為替コスト（ACWIは多通貨）

オルカン同様、世界中の通貨を扱うため為替ヘッジの影響が出る場合がある。

5. レバカンの長期シミュレーション（理論値）

ACWI の想定リターンを年 7％とした場合、2倍レバレッジは次のように動く可能性があります。

“上昇相場は強いが、乱高下と下落に弱い”—これがレバカンの特徴です。

6. レバカンは長期投資に向くのか？

結論としては、次の2つの条件が揃うなら長期でも十分に有効です。

✔ 世界株が長期で右肩上がりだと信じられる

過去100年以上、世界株はずっと上昇してきました。
この前提を信じる人にとって、レバカンは資産形成を加速する武器になります。

✔ 暴落時に売らずに握り続けられるメンタルがある

暴落時に 50％ 下がる可能性もあり、そのときに売ると資産が回復不可に陥ります。

精神的に保てるかどうかが、成功するか失敗するかの分岐点になります。

7. レバカンの“最適な使い方”

■ ① 資産の10〜30％にとどめる

サテライト運用が鉄則。全部をレバレッジにするのは危険。

■ ② 下落局面でスポット買い

レバレッジは“底を拾うほど強い”。

■ ③ コア資産はオルカン or S&P500

基盤が安定しているほどレバレッジ運用が活きる。

■ ④ 長期の積立は「上昇トレンド」なら有効

しかし乱高下相場では逆効果になる可能性があるため注意。

8. まとめ：レバカンは“使い方次第で最強にも最弱にもなる”ハイリスク・ハイリターン商品

auAMレバレッジ・オールカントリーは、世界株の成長を2倍で取りに行く強力な金融商品です。
一方で、レバレッジ特有のボラティリティ・ドラッグによって、乱高下相場では資産が痩せやすくなるという弱点も抱えています。

・上昇相場では最強
・下落相場では最弱
・乱高下相場では中の下

つまり、レバカンは投資家の知識と運用技術、そしてメンタルに大きく依存する“攻めの武器”です。

ただし、これを正しく理解して利用すれば、通常のオルカンでは達成しづらい資産形成スピードを得ることもできます。