30代会社員のなおつんです。
このブログでは30代会社員の悩みを同じ会社員へ向け共有し、今日よりも明日へ一歩前進できるような記事を書いています。
今回はアパレルOEMメーカーで世界トップクラスを誇る企業「株式会社マツオカコーポレーション」について直近の決算報告書に書いてあることを抜粋しながら紹介していきます。
アパレルOEMとは、他のアパレルメーカーから製品の製造委託を受けてそのブランド名の製品として衣料品を製造する事業の事です。
2020年6月20日時点で全世帯へ配布が完了された「アベノマスク」ですが、マスクの製造委託先の一つにこのマツオカコーポレーションが入っており、興味が沸いたので調べてみました。
「マツオカコーポレーション」の事業内容
アパレル業界は商品企画に始まり、素材開発・生産、縫製加工、物流・流通、販売という流れになっていますが、マツオカコーポレーションが担う事業領域は、商品企画から物流までとなっています。
最初に紹介したようにアパレルOEM(Original Equipment Manufacturer)とは他社のアパレルメーカーから製造委託を受けて他社ブランドとして製造する業態の事ですが、マツオカコーポレーションはユニクロなどのアパレルメーカーから製造委託を受けています。
また、近年はSPA企業(Speciality store retailer of Private label Apparel)という商品企画から販売までを一手に自社グループで完結させる企業も増えているようですが、マツオカコーポレーションのようなアパレルOEMはこれらのSPA企業の商品開発や仕入力に貢献しています。
事業所としては広島県に本社を構え、東京と大阪にもそれぞれ事務所があります。
海外では中国、ベトナム、バングラデシュ、ミャンマー、インドネシアとアジア諸国に工場を持っており、日本人指導者の元で現地の雇用なども生み出しています。
直近の業績
マツオカコーポレーションの直近の決算は第65期第1四半期決算(2020年4月1日~6月30日)ですが、昨年1年間のデータと比べるとこの3カ月だけで昨年の当期純利益を越えています。(表中のピンク網掛けと赤文字部分)
また、当期の売上高経常利益率は過去5年間で最高の10.8%となっています。
報告書によるとこの利益増加の要因は、「新型コロナウイルス感染拡大の影響により店舗の売上が大幅に減った。」としているものの、「布製マスクが売上高増加に寄与した。」、「布製マスクの生産により操業度を維持する事が出来た。」と説明されています。
政府からのマスク製造委託によって需要増になった事については、報告書の中ではっきりとは明示されてはいませんでした。
中長期計画
マツオカコーポレーションでは2018年4月から始まった3ヵ年中期経営計画「Take On The Global !」を掲げアパレルOEM売上高世界トップレベルを目標としています。
2021年3月末までの具体的な目標値としては以下通りです。
経常利益 55億円
生産枚数 1億枚
しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響による消費マインドの低下により、アパレル製品の需要低下が見込まれることから目標達成は難しいと述べています。
これを受けて、今後マツオカコーポレーションが取り組みべき課題としては以下の事が挙げられます。
生産拠点の最適化
ファッション市場のグローバルな競争に対応するため、品質の維持向上を図りながら生産量の拡大と生産拠点の最適化を目指します。
ベトナムにおける生産能力の拡大
近年の中国の生産コスト上昇の代替施策として、ベトナムの優遇関税制度と安価な労働力を活かしてベトナムの生産能力拡大の取り組みを強化していきます。
新しい合併事業モデルの確立
マツオカコーポレーションは株式会社ファーストリテイリング、蝶理株式会社、東レ株式会社との合併会社として設立した「PT. MATSUOKA INDUSTRIES INDONESIA」の生産能力をより一層高める取り組みをしていきます。
新設備の導入
今までは布帛(ふはく)を中心とした縫製に関しては機械化の余地が少なく手作業での生産がメインでしたが、近年はIoT技術が発達してきたことからさらに生産力を向上させるために新設備の導入が不可欠しています。
特に最近の受注傾向として多品種小ロット化が見られるため、効率化として新設備を導入し省力化の向上にも努めていきます。
事業のリスク
ここからはマツオカコーポレーションが抱える事業のリスクについて報告書の中からいくつか抜粋して解説します。
感染症拡大に関するリスク
まさに新型コロナウイルス感染拡大に関する事ですが、最近の決算報告内の「事業のリスク」にはどの企業も必ずと言っていいほど出てくる文言です。
マツオカコーポレーションとしても例外では無く、消費マインドの低下や政府の要請による工場操業停止、小売店の営業停止によって経営成績に大きな影響を与えるとしています。
特定の地域の依存リスク
マツオカコーポレーションは中国を主力の生産拠点としてミャンマー、バングラデシュ、ベトナム、インドネシアの5か国に拠点があるものの、これらの国の政治的または社会的な混乱や法規制や変更によって生産能力はおろか業績にまで影響を受けます。
これの対応としては今後はアジア以外の地域への進出を図りリスクヘッジする事を検討しています。
人材に係るリスク
海外への事業展開をすると現地スタッフも多く雇い入れる事にもなり、様々な人種交流や現地スタッフとの協業なども発生してきます。
これはグローバル企業にとって良いシナジーを生む反面、文化や慣習の違いからトラブルなどにも発展する可能性もあります。
また、特に海外工場においては今後は賃金の上昇していく事が予想されこれが固定費として圧し掛かり業績に影響を与える可能性があるとしています。
特質すべき点とまとめ
マツオカコーポレーションだけに言えた事では無いですが、多くの企業が新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けています。
これは必ずしも悪い影響だけでは無く、今回のアベノマスクのように特需によって一部の企業は大きく業績を伸ばした企業もあるのが実態ですが、この世界的パンデミックがどの企業にどんな影響を与えるかは誰にも予想できなかった事は事実です。
マツオカコーポレーションにしても今回は一時的に業績が急上昇しましたが、今後アパレル業界はどうなるのかが全く想像も出来ないため、安心とは言えない状況です。
しかし、「直近の業績」では触れませんでしたが、マツオカコーポレーションの自己資本比率は47.9%と非常に高い数字を出している事から事業が悪化してもすぐに資金繰りに困るという事はなさそうです。
アパレル業界は今後とも注意深く見守っていきたいと思います。
自宅に届いたアベノマスク⇩
このブログでは会社員や学生さんの役に立つ情報や考え方を発信しています。
ぜひ興味があれば別の記事を読んでいただきお役に立てればと思います。