30代会社員のなおつんです。
このブログでは30代会社員の悩みを同じ会社員へ向け共有し、今日よりも明日へ一歩前進できるような記事を書いています。
日本の超有名&超優良企業である「株式会社ニトリホールディングス」がコロナ禍でも過去最高益を達成しました。
個人投資家がニトリの業績を見ながらこの企業について分析してみました。
ニトリグループの事業内容
「ニトリ」と聞いて誰もが頭に思い付くのは家具やインテリア用品の販売だと思います。
事実、ニトリが作成して公表している有価証券報告書では「当社は家具・インテリア事業の単一セグメントである」という事をはっきりと記されています。
様々な顧客層とニーズに対応するための販売の手法が採用されており、「ホームファニシング事業」「デコホーム事業」「ショッピングモール事業」「リフォーム事業」「法人向け事業」「通販向け事業」の6つの事業へ細分化されています。

出典:ニトリのウェブサイト
経営の基本方針として「住まいの豊かさを世界の人々に提供する。」を掲げ、25社の子会社(海外も含む)と関連会社1社によって事業を展開しています。
ニトリの創業は1972年3月に家具の販売を目的として「似鳥家具卸センター株式会社」を北海道札幌市に設立したのが始まりで、1989年9月に札幌証券取引所に上場しました。
1994年10月にはインドネシアに現地法人を設立するなどして、事業を展開してきました。
2020年2月時点では、国内の店舗数541店と海外店舗数66店舗にまで成長しています。
直近の業績
ここからニトリの直近の業績を見ながら「収益性」と「財務安全性」を見ていこうと思います。
専門用語に関しては別の記事でも詳しく解説しているので、ぜひ参照してください。
収益性
収益性を確認するためには利益を見るのが何よりですので四半期の利益と前年同期比の比較をしていきます。
上の図は、当四半期の「売上高」「経常利益」「当期純利益」を表したグラフになりますが、前年同期比と比較すると全て増収増益となっています。
売上高は12.7%増、経常利益は43.4%増、当期純利益は35.1%と非常に大きく伸長している事が分かります。
ニトリの報告書によると、緊急事態宣言の解除後に全店舗を営業再開した際に多くの顧客の来店があったために売上が大きく伸びた事が要因としています。
このため、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐための店舗での取り組みとしては、店舗内の消毒と清掃の徹底、出勤前の検温、マスクの着用、手洗い消毒の徹底をしています。
また、従業員が安心して働けるためのニトリ側の施策として、マスクの支給や特別休暇の付与、更には特別支援金の支給までも行っています。
財務の安全性
続いては財務の視点から分析していきます。
上のグラフは「総資産」と「純資産」の増加を表したグラフで、その下の表は「自己資本比率」「流動比率」「当座比率」「有利子負債依存度」、それから各キャッシュフローの動きを示しています。
結論からいうと非常に優秀な財務体質であるといえます。
自己資本比率が81.6%もあり、流動比率や当座比率も申し分ない数値となっています。
キャッシュフローも営業再開によって利益を稼ぎ出していますし、利益をしっかり投資にも回しています。
来期の見通しと中長期計画
今期のニトリの業績見通しと中長期の計画については以下の事が示されています。
営業利益:112,200(百万円)
経常利益:113,300(百万円)
当期純利益:757(百万円)
2022年には国内外での店舗数を1,000店舗、2032年には3,000店舗を目標に顧客の買い物のしかたやニーズの変化を捉え、より利便性の高い商品とサービスを提供していくという事が盛り込まれています。
またニトリが打ち出す具体的な今後の施策としては、中国を中心とした海外事業展開やB to B事業の拡大を宣言しています。

※「B to B事業」とは、ビジネス to ビジネスという意味で、対法人向けの事業の拡大の事をいっています。
つまり、現在でもニトリが行っている法人向けのオフィスレイアウトや事務所デザイン提案をより強化していく方針です。

出典:ニトリのウェブサイト
事業等のリスク
業績が好調のニトリですが、ここではあえてニトリが抱えるリスクを紹介していきます。
輸入比率の増大と為替変動のリスク
ニトリでは販売する製品の8割以上を中国やアジアからの輸入に頼っているため、為替が大きく変わると業績に影響を与えます。
基本的には輸入企業だと円高になると仕入れコストが下がるので業績は好調になり、円安になるとその逆で仕入れコストが上がり業績は悪くなる傾向にあります。
商品の輸入の比率が大きくなればなるほど、為替の影響は無視できないリスクとして表面化していきます。
海外の政治・経済・環境変化のリスク
海外に輸入を頼る事のもうひとつのリスクは輸入先の政治情勢や経済状況の変化によって継続的な仕入れが出来なくなったり、生産工場からの輸入が出来なくなるというリスクがあります。
ニトリに限らず多くの日本企業(特に製造業)も海外からの輸入に頼っている事から同様のリスクを抱えている事になります。
新型コロナウイルス感染症のリスク
世界的に影響を及ぼしている新型コロナウイルス感染症ですが、ニトリのように店舗での販売を主として事業を行っている企業では、政府の緊急事態宣言での営業自粛によって営業を中止せざるを得ない状況になる事があります。
これによって店舗の売上は無くなる一方で、人件費や店舗運営管理などのコストは発生する事から大きな損失を生む可能性があります。
幸いな事にニトリの場合は店舗を営業再開した後には多くの顧客が来店した事や、通信販売も行っているためある程度のリスクヘッジは出来ていると思います。
特筆すべき点とまとめ
ほとんどの企業においてコロナ禍での業績悪化が報告されている中、ニトリはまだまだ元気な状態を保っているようです。
最近、様々な企業の報告書を分析している中で頻繁に出てくるのは「提案」や「コト売り」という言葉です。
これは、今までは物を売って利益を出していた企業が提案力を武器にして、「顧客へ価値を提供する」という方針転換によるものです。
時代の移り変わりに合わせて「モノを売るのではなく、コトを売る」という問題解決型の事業展開の変革が急がれる中で、ニトリはいち早く取り入れて実践していると感じます。
それに加えて、ニトリが本来に強みとしても持っている「生活の基盤」を扱う商材は不況にも強いといわれる事を考えると、投資家目線から見ても投資先の候補として十分に視野に入る企業です。
今回の報告書はEDINETに公開されている有価証券報告書及び四半期報告書の内容を抜粋したものです。もし気になる企業があれば調べてみると良いと思います。
このブログでは会社員や学生さんの役に立つ情報や考え方を発信しています。
ぜひ興味があれば別の記事を読んでいただきお役に立てればと思います。