30代会社員のなおつんです。
このブログでは30代会社員の悩みを同じ会社員へ向け共有し、今日よりも明日へ一歩前進できるような記事を書いています。
今回は農林中金バリューインベストメンツが販売する投資信託「おおぶね」シリーズについて解説します。
「おおぶね」シリーズの特徴は一通り説明し、最後にこのファンドに関しての私の所感を述べたいと思います。ぜひ最後までお付き合いください。
私は様々な投資案件に自ら挑戦し、その実績もこのブログで公開しています。
「おおぶね」シリーズの概要

出典:おおぶねウェブページ
私はもともと投資関係に関する記事を書いたり、他の人のブログを読んだり、YouTubeを見ているせいもあるとは思いますが、最近YouTubeやインターネットの広告で「おおぶね」シリーズの広告をよく見かけます。
「おおぶね」シリーズは農林中金バリューインベストメンツ(NVIC)が販売する投資信託の銘柄の事をいい、以下の3シリーズで商品展開されている投資信託です。
2、おおぶねグローバル(長期厳選)
3、おおぶねJAPAN(日本選抜)
これら3種類の投資信託をまとめて「おおぶね」シリーズと呼んでいます。
投資家の好みに合わせて3種類の商品から選べる事ができ、どれも長期投資を前提としたファンドとして販売されています。
以下はおおぶねのウェブサイトからの引用です。
長期で投資することで、リスクを抑えながら
複利の効果で資産を大きく増やすことを目指す投資信託です。
機関投資家向けに高い実績を出してきた農林中金バリューインベストメンツ(NVIC)が
世界中から成長を続ける構造的に強靭な企業を見極めます。
長期的に価値を積み上げる企業への投資戦略と農林中金バリューインベストメンツの投資のプロが運用する「おおぶね」シリーズで長期的な資産形成を促してくれることが期待されています。
農林中金バリューインベストメンツ株式会社とは
農林中金バリューインベストメンツ株式会社とは、国内最大級の金融機関である農林中央金庫グループの関連子会社にあたり投資助言活動などを行っている会社です。
2014年10月に設立された同社が今回解説する「おおぶね」シリーズの運用指図を行うことで、機関投資家の莫大の利益を個人投資家にもその利益を享受できるように投資活動を行っています。
ファンドマネージャー「奥野一成」氏

出典:農林中金バリューインベストメンツ株式会社ウェブサイト
このファンドの管理運営の責任者である「奥野一成(おくのかずしげ)」氏は、京大法学部を卒業しロンドンでビジネススクールファイナンス学修士(Master in Finance)を終了している超エリートです。
現在は農林中金インベストメンツ株式会社の常務取締役兼最高投資責任者として活躍している傍らで、投資に関する著書「教養としての投資」や「先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?」を版しています。
まさに投資のプロとして文句ない肩書と実績がある人物といえます。
「おおぶね」シリーズの特徴1 危機に強く長期で伸びる企業に厳選投資
「おおぶね」シリーズはリーマンショックやコロナショックなどの経済危機にも強いファンドを目指すために、構造的に強靭で厳選された企業への投資を主な投資先として選んでいます。
企業における構造的な強靭さとは「高い収益性」「競合他社との優位性」「長期的な将来成長性」を挙げています。
これらを兼ね備えた企業は先に示した経済危機に直面しても安定的に収益を出すことが出来て、かつ希少価値も高いため長期投資に向いている投資先といえます。
長期投資が前提の資産運用では、日々の株価の動きはさほど気にする必要は無く、長い目で企業と付き合っていく事が重要です。
おおぶねファンドではプロが企業に直接足を運び調査するなど厳選された企業で構成されているので長期投資で資産形成する事が期待できます。
「おおぶね」シリーズの特徴2 年率14%以上のリターンで手数料は1%未満
投資家が一番気にする点は何といってもリターンの大きさです。
企業を応援したくて投資をするという心理的な行動もありますが、やはりその上で高いリターンを求めるのが投資の醍醐味です。
おおぶねファンドの米国株式では年率14%のリターンと高い実績を出しながらも、低コストを目指しているアクティブファンドです。
長期投資において投資信託のコストの低さは運用成績に重大な影響を与えます。
通常、投資信託を購入・運用・売却する時には手数料が発生しますが、例えば年間1%の運用手数料が発生するファンドを保有している場合は、実質的に運用利回りが1%も減ってしまう事と同じです。
長期間における平均的な米国株の運用利回りは5~7%といわれていますので、運用成績に関わらず1%の手数料が発生するという事はかなり重要なファクターとなりますが、おおぶねでは1%未満の投資コストを実現しています。
実際に各ファンドの手数料をまとめたのが以下の表です。

おおぶねシリーズの目論見書から抜粋
3種類とも1%未満の信託報酬となっており、自社で企業調査を行うなど必要経費を見直す事でアクティブファンドの中では低い運用コストを目指しています。
「おおぶね」シリーズの特徴3 投資のノウハウをわかりやすく。納得して参加出来る仕組み。
おおぶねファンドでは投資家へ納得して投資してもらうためにメンバーズカンファレンスを実施しています。
これはファンドマネージャーの長年の実績と経験を投資家に対して共有する取り組みで、投資に関して学びを深めたりビジネスについても知ることが出来るようになっています。
運用実績に関しては運用レポートのほかにオンラインでの報告会も行っており、質疑応答も出来るようになっています。
「おおぶね」シリーズの投資先や直近の運用成績
ここからは「おおぶね」シリーズの各ファンドの詳細と運用実績を見ていきます。
投資信託を選ぶ際に重要なポイントは関連記事でも詳しく解説しているので参考にしてください。
長期厳選投資 おおぶね(米国株式)

出典:SBI証券
長期厳選投資 「おおぶね」シリーズの中で米国を中心に投資をしている投資信託です。
対象地域:北米
投資形式:ファミリーファンド
為替ヘッジ:なし
設定日:2017年7月5日
純資産高(2021年5月時点):約95億5,000万円
設定来のトータルリターン:73.64%
設定来の基準価額推移:

出典:ヤフーファイナンス
青グラフ:「長期厳選投資 おおぶね(米国株式)」
ピンクグラフ:S&P500指数
上記のチャートはアメリカの代表的な指数である「S&P500」と比較したものですが、運用成績はほぼ同じといっていいと思います。
2021年5月時点のこのファンドの投資先の上位を占める銘柄は、ディズニーの「The Walt Disney Co.」、半導体の製造を行う「Texas Instruments Inc.」、ヘルスケア機器や関連サービスを提供する「Becton Dickinson & Co.」などがあります。
主に資本財、家庭用品、製造分野など幅広い投資先が組入されているファンドとなります。
2020年のコロナショックにおいても家庭用品や生活必需品は比較的ダメージが少ないといわれており、これらの銘柄が組み入れられている事は分散投資において必須条件となります。
このファンドを購入・運用・解約する時の手数料については以下の通りです。
購入時手数料については証券会社の窓口で対面購入をすれば購入価格の2.20%が差し引かれて購入されますが、楽天証券やSBI証券などのネット証券では購入時手数料は発生しません。
おおぶねグローバル(長期厳選)

出典:SBI証券
「おおぶねグローバル(長期厳選)」は、全世界の株式を主な投資対象としている投資信託です。
対象地域:日本を含む海外
投資形式:ファミリーファンド
為替ヘッジ:なし
設定日:2014年10月2日
純資産高(2021年5月時点):約20億8,000万円
設定来のトータルリターン:47.82%
設定来の基準価額推移:

出典:ヤフーファイナンス
青グラフ:「おおぶねグローバル(長期厳選)」
ピンクグラフ:NYダウ指数

おおぶねJAPAN(日本選抜)

出典:SBI証券
「おおぶね」シリーズ最後に解説するの日本を中心に投資をしている「おおぶねJAPAN(日本選抜)」です。
対象地域:日本
投資形式:ファミリーファンド
設定日:2014年10月2日
純資産高(2021年5月時点):約16億4,700万円
設定来のトータルリターン:17.34%
設定来の基準価額推移:

出典:ヤフーファイナンス
青グラフ:「おおぶねJAPAN(日本選抜)」
ピンクグラフ:日経平均株価指数
このファンドのチャートを日経平均株価指数と比較すると、ほぼ同じといって良いと思います。
2020年3月のコロナショック時点では日経平均株よりも落ち込みが少なく、また、回復も早い事が分かるかと思います。
このファンドは日本企業を中心に投資している投資信託で、2021年5月時点のファンドの投資先の上位を占める銘柄は、電気機器メーカーでフラットパネルディスプレイ世界シェア4位の「東京エレクトロン」、ソフトウェア開発の「日本オラクル」、輸送機器メーカーの「デンソー」などがあります。
上位銘柄として多いのは電気機器の製造業や情報通信、化学分野、サービス業などの企業が目立ちます。
新型コロナウイルスのワクチン接種が日本でもようやく始まった2021年5月現在では、製造業と非製造業の企業の業績には大きな明暗が分かれており、製造業は早くもコロナから立ち直り好調な業績を上げている企業も多くあります。
日本の戦後を支えてきた製造業ならではのファンドといえます。
このファンドを購入・運用・解約する時の手数料については以下の通りです。
「おおぶね」シリーズの総評
今回は農林中金バリューインベストメンツ株式会社の「おおぶね」シリーズの解説をしてきました。
最初にも言ったようにこれらのファンドは長期運用が前提になっているため、短くても5年から長くて30年以上を視野に入れた投資となります。
老後2000万円問題がニュースになってから投資を始める人が増えており、特にネット証券の口座開設数が急激に伸びているという情報もあります。
「おおぶね」シリーズでは「おおぶねに乗ったつもりで長期投資」という事が名前から推察できるコンセプトだと思いますが、今回紹介したどの投資信託もアクティブファンドなので、インデックス投資よりは若干手数料は高めというのが多少ネックです。

長期運用であれば、基本的には運用コストの低いインデックス投資が基本となります。
「おおぶね」シリーズは買いか?
ここからは投資家としての私の批評をしていきますが、私個人としては購入を見送りたいと考えています。
その理由は以下の3点で説明出来ます。
2、インデックス投資に比べて手数料が高い!
3、グローバル投資はグローバルでは無い!?
まず、長期投資においてインデックス投資の方が運用成績が良いということですが、これは様々なメディアやネットでも語られている事です。
今回の比較チャートでは「長期厳選投資 おおぶね(米国株式)」がS&P500指数と比較して健闘している事が分かりましたが、さらに長期的な運用となると手数料の高さが積み重なってトータルでの成績が思ったよりも伸びない事が私の懸念点です。
確かに直近のデータだけを見るとアクティブファンドの方が運用成績が良い場合もありますが、「長期投資」が前提であればなおさらインデックス投資の方が今後ともより良い成績を出す事はほぼ間違いありません。
ようするに、投資のプロが積極的に銘柄を選定し運用するアクティブファンドよりも、インデックスファンド(指数に連動させた機械的な運用)の方が長期的な利回りと成績は良かったという結果ということです。
また、長期投資では重要となる運用コストですが今回の「おおぶね」シリーズの運用手数料はアクティブファンドの中では低めを謳っていますが、それでもインデックス投資に比べたら割高感を否めません。
全世界に投資出来る最近のインデックスファンドでは、信託報酬が0.1%代という超低コストのファンドもありますので、それと比較すると0.33%(おおぶねグローバル)という信託報酬は長期運用において低コストとは言いにくいのが現状です。
さらに、「おおぶねグローバル」で設定している「成功報酬」に関しては少し分かりづらい表現となっており実質的にどのくらい手数料が発生するのかが明記されていません。
このコストの不明確な点もインデックス投資の低コストと比較すると、魅力が落ちてしまう要因です。
おおぶねグローバルですが「グローバル」という名前が与えられながらも、日本企業への投資割合が約20%と比較的高い事が挙げられます。
個人的に日本企業には頑張ってもらいたい気持ちはあるものの、20~30年の長期的視点で今後の日本を考えた時に少子高齢化に伴い労働人口の減少と緊縮財政による長期デフレを総合的に考慮すると、日本経済がずっと発展していく事は難しいといわれています。
せっかくグローバル投資という名前があるからには、もう少し世界の企業の割合を増やしても良いかと思っています。
以上のことから基本的に長期投資家である私にとっては、今回の「おおぶね」シリーズの投資信託は購入を見送りしたいと思います。
投資のリスク
投資を始める時に重要な事はリスクを抱えるという事です。
元本が保証されている現金預金や保険商品ならいざ知らず、投資信託や株式投資には必ずリスクがあります。
そのリスクはコロナショックやリーマンショックなどの経済危機では、株価が大きく下落して自分のお金が減ってしまう可能性を秘めているという事です。
これを理解せずに「儲かる投資は?」などといった質問をしたり、「絶対に稼げる」という甘い罠に引っかかって詐欺まがいの商品を買ってしまう事もあります。
それらのリスクをきちんと理解して管理が出来れば投資の利益は享受出来ますし、長期運用と積立によってリスクはかなり低く抑える事が出来ます。
「投資はなんか怖い」「リスクが分かっていない」と少しでも思う方は投資はしない方が良いと思います。
まとめ
今回は農林中金バリューインベストメンツ株式会社が運用している、「おおぶね」シリーズについて解説しました。
「おおぶね」という名前から推察できるように投資先の安心感と、運用のプロが銘柄を厳選しているという事で魅力的に映る商品ですが、総合的に見た時に結論として私は購入しないということでした。
金融庁も推奨している「長期・分散・積立」は投資の王道中の王道といえる投資手法といえ、世界中の投資家もこれを実行しています。
ただ、多くの投資家はこれを実行出来ずに短期的な売買や目先の利益を追求してしまいがちです。
そのため「おおぶね」のような短期的に利益を出しているアクティブファンドが魅力的に見えたりしますが、上記の「長期・分散・積立」を実行している私からすれば、この投資手法はかなり地味なものです。
投資家としては派手な名前や儲かりそうという誘惑に負けずに、どんな投資商品でも自分で調べて判断できるようにしたいものです。
これからも話題になっている投資など気になった事があれば取り上げて解説していきたいと思います。
このブログでは会社員や学生さんの役に立つ情報や考え方を発信しています。
ぜひ興味があれば別の記事を読んでいただきお役に立てればと思います。