30代会社員のなおつんです。
このブログでは30代会社員の悩みを同じ会社員へ向け共有し、今日よりも明日へ一歩前進できるような記事を書いています。
先日、私の住む街にもドン・キホーテが出来ました。
昔のドン・キホーテといえば夜中に駐車場で若者がたむろしてしたり、ヤンチャな若者がジャージ姿で歩き回っていて少し近寄り難いイメージがありました。
しかし、最近ではそんなイメージとは打って変わり、主婦や家族連れをよく見かけるようになりました。
今回はドン・キホーテを運営している「株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス」の決算報告書を見ながら戦略がどう変化しているのか、また、コロナ禍においての業績はどうなっているかを解説していきます。
各会計用語については別の記事にしてあるので参照してください。
「パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス」の事業内容
「パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス」という会社名は普段馴染みはありませんが、ディスカウントショップ「ドン・キホーテ」を運営する会社です。
創業は1980年9月に「株式会社ジャスト」として日用品雑貨の卸売り販売を目的として、資本金300万円で始めたのが最初です。
ドン・キホーテの一号店は東京都府中市に1989年3月に開店し、この頃から卸業から小売業への転換を始めています。
現在の社名に変更したのは2019年1月とかなり最近で、それ以前は「株式会社ドン・キホーテ」が1995年9月から約24年間も使用されていました。
現在のパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスの事業全体像は以下の通りです。
ディスカウントストア事業は家電・日用品雑貨・衣料・食品・住居関連・時計・ファッション用品・スポーツ・レジャー・DIY用品の販売を行う小売業事業です。
総合スーパー事業はアピタやピアゴを代表する総合小売り事業を行っています。
また「かね美食品㈱」では寿司・揚物・総菜などの小売業とコンビニエンスストア向けの弁当の製造と販売を行っています。
また、テナント賃貸事業では主に店舗管理などのテナント業を運営しています。
その他事業では主にクレジットカード事業、電子マネー、保険代理店事業を運営しています。
グループ全体の店舗数は国内579店舗、海外で50店舗を展開しており、そのうちドン・キホーテは国内225店舗と海外で3店舗となっています。
直近の業績
ここからは決算報告書を元に直近の業績と前年同期の比較をみていきます。
今回、紹介している数値は2019年7月1日から2020年6月30日までの一年間の業績です。
上記の業績計算にあたっては、EDINETに正式な決算数値が公表されていないため、公式ホームページに公開されている千万単位が四捨五入されている数値を使用しています。
そのため実際の数値とは若干異なる事をご理解ください。
収益分析
「売上高」「経常利益」「当期純利益」は前年同期と比較して増収増益となっています。
「天候不順」「大型台風」「消費増税」「コロナ禍」など未曾有の事態が襲った1年でしたが、この状況下でも増収増益が達成できた企業は少ないと思います。
同社は2019年1月にユニーを子会社化した事で業務統合し販管費のコントロールが出来た事が要因としています。
とはいえ実際のコストに値する「販売費及び一般管理費」については、前期比からは20~30%増加しています。
事業別の連結売上はディスカウントストア事業で10.0%増、総合スーパー事業で84.8増となっているためユニーが業績を底上げしている事が考えられます。
また同社は1989年3月に一号店を出店してから31年連続で増収増益を達成しています。

出典:㈱パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスの決算報告動画
財務分析
「自己資本比率」28.8%で、極端に自己資本が少ない(=負債が多い)という事はありません。
直近の財務状況の安定性を計る「流動比率」については、流動資産4,967億円と流動負債3,122億円となっており、約159.1%となっています。
また、「有利子負債依存度」ですが、ネットD/Eレシオが0.93倍となっていますので、借金が多くて資金繰りが厳しいという状態ではありません。
経営方針と戦略
パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは「企業価値の拡大」を基本方針として掲げ、お客様と感動を共有出来る店舗運営と豊かな生活文化の創造を実現していく事を目指しています。
ちなみに2020年7月17日にはアピタ宇都宮店に「ドン・キホーテ」が入る事で、ハイブリット店舗が実現しています。

出典:㈱パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスの決算報告動画
近くに住まれている方はどのような店舗になっているか見に行ってみると面白いと思います。
外部環境の二極化
直近の一番の課題としては、新型コロナウイルス(COVID‐19)の影響ですが、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスでは「二極化」という言葉を使って変化表現しています。
例えば「商品」を考えてみれば、需要の全体が買回り品から生活必需品へ、店舗立地は都心部などの繁華街から住宅地や郊外へ、客層もインバウンドから国内客へのシフトが見られ、これらの影響により好調な領域と不調な領域の格差がさらに拡がる事が懸念材料として挙げています。
新中期経営戦略「passion 2030」
2020年2月に公表された新中期経営戦略「Passion 2030」によると、グループ全体の売上高3兆円、営業利益2,000億円を目指しています。
国内事業についてはオンリーワンリテーラーとして収益力向上を目指し「量」から「質」への転換を目指し、海外事業についてはアメリカと東南アジアの環太平洋地域の出店拡大を行いながらジャパンブランド・スペシャリティストアの業態構築を目指して行きます。
事業のリスク
ここからは代表的な事業のリスクをいくつか確認していきます。
有価証券報告書には「リスク」とう言葉が使われますが、これは裏を返すと「取り組むべき課題」と捉える事も出来るので必ずしもマイナスと考える必要はないと思います。
店舗拡大と人材確保
今までドン・キホーテの店舗展開といえば主要都市にあるイメージでしたが、地方など全国的な店舗展開をしていく中で無視できないのが人材の確保です。
実際に店舗で働く人材が顧客へサービスを提供しますので、優秀な人材の確保と育成が今後の事業拡大の大きな課題となります。
輸入及び物流・配送
扱う商品の輸入割合が増加している事から各国の政治情勢・経済環境などの影響を受けると商品が十分に供給できなくなるなどのリスクがあります。
また、物流・配送は外部業者への委託に頼っている事からこれらの業者の経営状況によっても影響を受ける可能性があります。
また輸入・輸出に関連する事業全体にいえる事ですが、為替が変動すると売上や仕入れコストに大きく影響を受けるため、海外からの輸入割合が増えるとそのリスクも比例して大きくなります。
マーケテイング
小売業は品揃えの多さが事業の要となりますので、消費者が欲しいと思ったものをいち早く仕入れ販売する事が重要になります。
現在ではこれらの業務を20~30代の若手社員が担っているため、継続的に組織管理と人材育成などが出来なければ業績が低迷する可能性があります。
消費者需要・天候及び季節性
消費者のニーズは常に変わっていく事や商品によっては天候や機構の変動の影響を受けるためこれらの外部要因に対応できる環境を整える必要があります。
また、消費者ニーズの変化によって売れなくなった商品に関しては不良在庫となるリスクも抱えているため、アンテナを高くしてこれらの環境の変化に対応していく必要もあります。
まとめ
ドン・キホーテに生まれて初めて行った時の事は覚えていませんが、お店に入った途端に圧倒されたのは商品数の多さと独特の陳列の仕方です。
店舗は広いんだけど棚と棚の隙間が小さいのはまるで迷路のようですし、自分の進行方向に他のお客さんがいればすれ違うのもやっとの状態です。
さらに飲み物などの瓶がきわどい高さまで縦積みされており、狭い通路を歩いていると危うく陳列棚を倒しそうになり、「この棚をお客さんに倒させて全部買い取らせる作戦か!?」とすら思っていました。(←おそらくそんな意図はありません。)
また、ディスカウントストアを謳いながらも高級時計やブランド財布を扱っているギャップも刺激的で私は好きです。
このような店舗内を歩き回っている感覚は「宝探し」をしているようでずっとお店にいても飽きません。
今回ドン・キホーテの顧客層の変化として、やんちゃな若者→主婦や家族連れが戦略的なものだったかどうかは分かりませんでしたが、増収増益の実績を見る限りはいい方向に進んでいると思えます。

私はドン・キホーテで売っている格安のお弁当が好きです。
このブログでは会社員や学生さんの役に立つ情報や考え方を発信しています。
ぜひ興味があれば別の記事を読んでいただきお役に立てればと思います。