30代会社員のなおつんです。
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今回は最近Googleトレンドの急上昇キーワードである「ベイリー・ギフォード インパクト投資ファンド(愛称:ポジティブ・チェンジ)」というファンドについて解説していきます。
私は資産運用の実績をこのブログで公開しているので、興味がある方は関連記事もご覧ください。
ベイリー・ギフォード インパクト投資ファンド(愛称:ポジティブ・チェンジ)の概要
ベイリー・ギフォード インパクト投資ファンド(愛称:ポジティブ・チェンジ)は、「社会的課題の解決」と「経済的利益の獲得」の2つの軸をもとに投資を行うファンドです。
特に近年では「ESG投資」といって、E(Environment:環境)、S(Social:社会)、G(Govornance:ガバナンス)の3つを重視した活動を行う企業への投資を行う傾向が社会的に顕著になってきています。
このファンドも投資先の企業が生み出す新たな商品やサービスが社会的な課題を解決する事とその上で経済的な豊かさを高次元で両立する事に期待したファンドといえます。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって、人々の行動が制限される中で経済が一時的に停滞したり、一部の業種では大きなダメージを与えている状況ですが、こういった社会をポジティブにチェンジしていくという考えから、このファンドは「ポジティブ・チェンジ」という愛称がついています。
投資先はアメリカ企業が中心
このファンドは日本を含む全世界の株式に投資するファンドですが、投資先の大部分を占めるのがアメリカの企業です。

アメリカの次に来るのが日本やデンマークといった先進国を含む13か国が主な投資先です。
また投資先の企業の割合は以下の通りです。

この中にはアメリカを代表する「アルファベット」や「テスラ」、最近話題の「モデルナ」なども含まれています。
また各企業の業種も情報通信や一般消費財、金融、医療など様々な分野へ幅広く投資がされており、分散効果を期待できるファンド設計となっています。

投資先の企業や比率はその都度見直しがされるため、後に変更になっている場合があります。
ファンドのラインナップは2種類
このファンドは2種類のラインナップとなっています。
・ベイリー・ギフォード インパクト投資ファンド (予想分配金提示型)〈愛称:ポジティブ・チェンジ〉
この2つのファンドの大きな違いは「決算頻度」と「分配金の支払い方法」の違いですが、まとめたものが以下の表です。
決算頻度に関しては、上の通常版のファンドは年1回なのに対して、予想分配金提示型については毎月決算をすることになっています。
決算回数が年間1回の場合は、分配金も年1回支払われますが、毎月決算を選択して運用している場合は毎月分配金が支払われるという事です。
また、予想分配金提示型については、投資家へ支払う分配金の金額を決める時の方法が特徴的なので次の項目で詳しく解説します。
「予想分配金提示型ファンド」とは?
「予想分配金提示型ファンド」というのは、分配金の金額をあらかじめ決めておくという珍しいスタイルを採用したファンドのことです。
このファンドが支払う分配金を決めるのに重要な要素は、ファンドの基準価額となっています。
毎月の決算日である25日の前営業日の基準価額が高ければ分配金を多く支払い、基準価額が低ければ支払う分配金は少なくなるというシンプルな仕組みです。
運用成績が良かったり資金が多く集まると基準価額も上がりますので、それに伴って支払われる分配金も一定までは増加する事になります。
具体的に基準価額と分配金の関係を表した図が目論見書に記載があるので、参考までに貼り付けておきます。

目論見書から抜粋
上の表をもとに分配金の例を出すと、25日の前営業日の基準価額が12,000円だった場合は、1万口で300円の分配金が支払われる事になります。
14,000円以上の基準価額になれば最高で1万口あたり500円の分配金が支払われます。
ただし、この分配金は目標額なので、決算日の前後で急激な基準価額の変動があった場合や、ファンドの収益が思わしくない時には、分配金はこれよりも下回る可能性があります。
また、将来の分配金についても上記の表のとおりなる事を保証しているわけではありません。
ちなみに、予想分配金提示型を採用しているファンドは他にもあるので、気になる方は関連記事をご確認ください。
直近の成績と分配金の推移
ベイリー・ギフォード インパクト投資ファンド(ポジティブ・チェンジ)の直近の成績ですが、2つのファンドの設定来からチャートは以下のようになっています。

ベイリー・ギフォード インパクト投資ファンド(ポジティブ・チェンジ)は、設定日が2019年6月17日なので、約2年間のチャート推移と同期間のS&P500指数と比較するとS&P500を大きく上回っている成績を出しています。
2020年3月頃のコロナショックではどちらも大きく下落はしていますが、その直前でもポジティブ・チェンジの方がS&P500を引き離している事が分かります。
次に予想分配金提示型のチャートとS&P500の比較です。

予想分配金提示型の方は、設定日は2019年6月18日と誕生してから約2年とまだ若いファンドですが、S&P500と比較すると現在ではやや勝っているという状況です。
どちらのファンドでも現在ではS&P500を上回る成績を出している事が分かりますが、予想分配金提示はもう少し長い期間でチャートを比較したらもっとはっきり違いが出ると思います。
これらの2つのファンドのトータルリターンは以下の通りです。

トータルリターンは分配金を含めた一定の期間の投資利回りですが、どちらも大きなリターンを出している事が分かります。
分配金についてですが、通常のポジティブ・チェンジが2020年6月に10円を一回分配しています。
予想分配金提示型については、以下の通りです。
2021年4月:100円
2021年5月: 0円
2021年6月:100円
2021年7月:100円
2021年8月:200円
今後も基準価額が上昇すれば、支払われる分配金は多くなる事が期待できます。
「ポジティブ・チェンジ」を購入する時の注意点
ベイリー・ギフォード インパクト投資ファンド(ポジティブ・チェンジ)は、現状では同期間のS&P500よりも好成績を出しているファンドではありますが、購入する場合はいくつか注意する点があります。
注意点② 分配金支払いによる投資効率の悪化
注意点③ 純資産額は常に監視が必要
注意点① 信託報酬が年率1.518%と高め
このファンドを購入する際の注意点は信託報酬が比較的高めの設定になっているという点です。
近年はネット証券などが主流となっており、ファンドの低コスト化が進んでいる影響もあり、投資家が間接的に負担する信託報酬は年率0.15%程度くらいにまで下がっている商品もあります。
それと比較するとポジティブ・チェンジの信託報酬は1.1518%なので、かなり高めの運用コスト設定となっています。
信託報酬が与える成績の比較は以下の通りです。
このグラフは平均年間利回りを4%のファンドに100万円を投資して35年間運用を続けた際にどのくらいの差が出るかを表したグラフです。
青い線が最近の低コストファンドである0.15%の信託報酬で、赤い線がポジティブ・チェンジの信託報酬である1.158%で計算しています。
結果は明らかで35年後には約140万円も差がついてしまっています。
このようにポジティブ・チェンジを購入する場合は、運用成績や利回りだけでなく、高い運用コストにも注意して投資する必要があります。
注意点② 分配金支払いによる投資効率の悪化
長期投資が前提であれば、分配金を出さないファンドを購入する方が投資効率が良いという話は投資家の間で良く耳にします。
この理由はファンドが分配金を支払う時に税金が発生するのと、分配金を支払う事で一時的に基準価額が下がってしまうためです。
長期投資であれば分配金はすぐに使う予定がなければ、そのファンドに再投資するかと思いますが、分配金を受け取る時に税金が引かれるため投資出来る元本は目減りしてしまう事になります。
分配金を出さないファンドは、運用によって得られた利益を投資家に還元せずにファンド内で再投資してくれるため、無駄な税金を支払うことなく効率が非常に良いとされています。
注意点③ 純資産額は常に監視が必要
ファンドの良し悪しを判断するのに重要な事が「純資産額の増減」です。
純資産額はファンドにどのくらいのお金が集まっているかを表している数値といえますが、人気のファンドは純資産額が右肩上がりなのに対して、人気が無いファンドは純資産額があまり増えていない、もしくは減っているという事もあります。
現在ポジティブ・チェンジはどちらのファンドも純資産額は上がり続けているので今のところ心配はありませんが、市況等の変化によっていつ資金が流出して純資産額が減るか分かりませんので、今後も注意する必要があります。
ベイリー・ギフォード インパクト投資ファンド(ポジティブ・チェンジ)は結局買ってもいいの?
ベイリー・ギフォード インパクト投資ファンド(ポジティブ・チェンジ)は、私個人的な見解ですと長期投資ではあまりおすすめはしません。
予想分配金提示型のファンドは特におすすめしません。
その理由は上記の注意点でも解説したように、分配金を出す事で投資効率が悪くなり長期投資に向かないためです。
また運用コストである信託報酬も他のファンドと比較してもかなり高く、長い期間運用このコスト高がずっしりと重くのしかかってくる事を考えると私の選択肢には入りません。
それでも購入したいのであれば、1年に1回決算を行う予想分配金提示型ではない方のファンドの方がまだおすすめできます。
まとめ
今回はベイリー・ギフォード インパクト投資ファンド(ポジティブ・チェンジ)というファンドを解説しました。
現在ではS&P500を上回る成績を出しながらも、信託報酬などを考慮すると長期運用には向かないファンドである事が分かりました。
投資は自己責任ですので良く調べて自分で納得できるものにだけ投資を行うようにしましょう。
興味があればぜひ別の記事を読んでいただきお役に立てればと思います。