「従業員持株会」の特徴とメリットとデメリット、向いている人はどんな人?

投資を学ぶのに役に立つ

30代会社員のなおつんです。

このブログでは30代会社員の悩みを同じ会社員へ向け共有し、今日よりも明日へ一歩前進できるような記事を書いています。

今回は「従業員持株会」についてメリットとデメリットを解説していきます。

なおつん(左)
なおつん

最後にこの制度のちょっとした裏話も紹介しますので、最後まで読んでいただければ幸いです。

私は個人投資家としてFIRE達成に向けた資産運用の実績の公開をしたり、投資に関する記事もこのブログで紹介していますので、気になる方は他の記事もご覧ください。

従業員持株会とは?

それなりの規模がある会社に勤めている会社員の方であれば「従業員持株会」という言葉を聞いた事はある人も多いと思います。

この制度は従業員への福利厚生の一環として、従業員が自分の勤める会社の株式をお得に購入できるという制度です。

東京証券取引所が発表したレポートによると、2020年3月末時点で日本国内で上場している企業の3,708社のうち3,236社がこの制度を導入しているため、約87%の企業が導入しているということになります。

従業員持株会は社員がお得に自社の株式を購入出来る制度ですが、以下はその全体像を表したものです。

従業員持株会の概要図

従業員は毎月任意の金額を給料から天引きして社内にある持株会組織にその資金を預け入れ、持株会の組織は集められたお金で株式市場から自社の株式を購入します。

従業員は購入した金額分の株式(「持分」といいます。)に応じて配当金や奨励金を受け取る事が出来るという仕組みです。

また、奨励金や配当金を受け取れるというメリット以外でも、企業が従業員へ株式の購入をする際の補助を出す事で実質的に市場よりも安い値段で株式を購入できるという仕組みを採用している企業もあるようですが、従業員持株会の詳しい制度はその企業によって大きく変わっているようです。

この制度を採用している企業の多くは大企業ですが、その大企業のグループ子会社も親会社の制度を使用できる企業もあるため、ご自身の働いている会社が従業員持株会を行っているのかを確認してみると良いでしょう。

今回解説する「従業員持株会」以外でも、ここ最近の企業が導入している「企業型確定拠出年金(企業型DC)」も興味がある方は関連記事をご確認ください。

従業員持株会のメリット

従業員持株会のメリットは以下のようなものがあります。

① 企業の福利厚生の充実
② 従業員の士気向上
③ 配当金とは別に「奨励金」が貰える
④ 投資の手間が少ない
⑤ 投資金額を自分で決められる
⑥ 購入価格の平均化が出来る
これらは従業員側のメリットが大きいですが、会社側のメリットについても合わせて詳しく解説します。
企業の福利厚生の充実

従業員持株会は従業員への福利厚生の一環として企業が採用している制度であり、配当金や奨励金を従業員へ支払う事で資産形成の一助としているのが大きな目的です。

企業によってはその他にも企業年金や退職金などの制度がありますが、これと同じように企業が従業員へ行うサービスのひとつとして理解すれば良いと思います。

従業員持株会への加入は基本的に任意ですが、加入の条件などは勤める企業によって若干異なるので、確認が必要です。

私の勤める会社も従業員持株会の制度を採用していますが、一度持株会を脱退した社員は再加入出来ないようになっています。

なおつん(左)
なおつん

「脱退」とは、持株会に預けている株式を売却して現金化する事をいいます。当たり前ですが会社を退職した場合も強制的に「脱退」させられます。

従業員の士気向上

従業員持株会では従業員が間接的に企業の株主となるので、会社の業績がそのまま自分の利益に直結する事になります。

これによって業績に直接関係の無い経理や総務などの間接部門に勤務する従業員であっても、業績をより意識するようになり仕事のモチベーションが向上する事が期待されます。

会社の中で役職が上がれば、業務内容や成績がより利益や数字といった定量的に語る場面が多くなるので、従業員持株会への加入をすることで、いま自分の仕事が会社へ貢献しているという実感を得られると同時に「会社の業績=自分の利益」と考える事も出来るようになります。

経営者としても従業員の仕事に対する姿勢が改善する事は嬉しいことなので、会社としてもメリットが大きい制度となります。

配当金とは別に「奨励金」が貰える

従業員持株会に参加している従業員は、通常の株主と同じように配当金を受け取る事が出来ます。

一般的な多くの日本企業の場合であれば、年間2回の配当金が株主へ支払いされますが、従業員持株会では配当金を従業員へ直接支給するのではなく、自社株の購入代金の原資として自動的に「再投資」されるのが一般的なようです。

再投資する事で複利の力を得る事ができ、上手くいけば雪だるま式に資産が増えていく事が期待できます。

配当金を受けてれるのは株主としては当然の権利ですが、従業員持株会のもうひとつのメリットとしては、配当金とは別に「奨励金」がもらえる事です。

この奨励金は配当金とは別にもらう事ができ、通常の株主ではもらえない従業員持株会の加入者だけがもらう事が出来る特別なお金です。

企業によって支給する金額や方法などは大きく違いがありますが、持株会を有している企業の96.6%が何らかの方法で奨励金を支給しているというデータもあります。

また、奨励金の支給額は従業員からの拠出金1,000円に対して40~60円の支給をしている企業が最も多く、全体の38.0%となっており、次に多いのが100円~150円で全体の35.7%となっています。(東京証券取引所調べ)

奨励金の利回りだけで計算すると4~6%支給している企業が一番多く、次に10~15%支給が多くなっています。

奨励金と配当金を合わせた合計の利回りを考慮すると、投資としてはかなり高利回りが期待できる制度といえます。

 

投資の手間が少ない

従業員持株会では従業員からの掛け金は毎月給与から天引きされるのが一般的のようで、この場合は一度手続きを済ませてしまえばその後は従業員が資金を管理するなどの手間はほとんどありません。

通常、株式投資を行う場合は証券口座を開設したり、配当金を受け取る銀行口座の登録などの手間がありますが、この制度を使えばこれらの管理を持株会組織がまとめて行ってくれるので手間が少なくて済みます。

注意:持株を売却する際には証券口座の開設が必要になる場合があります。
投資金額を自分で決められる

従業員持株会の加入は強制ではなく、従業員が任意で加入するかどうかを決める事が出来ます。

また、毎月給料から天引きして持株を購入する金額も自分で決められるため、無理のない範囲で自社株への投資が出来ます。

「日本証券業協会」では毎月の投資額に限度額は1回あたり(1カ月当たり)100万円未満とする事と推奨しており、この理由は従業員の給料をリスク資産へ偏り過ぎるのを防ぐのが目的です。

一般的に毎月100万円の資金を持株会に捻出できる会社員なんて存在しないと思いますが、企業によっては「基本給の〇〇%まで」など、掛金に制限を設けている場合がほとんどです。

私も従業員持株会に加入して毎月給料から支払いして運用していますが、基本給の5%以内までと決めています。最悪は損失を出しても生活に支障が出ないような金額で行うのが良いかと思います。

購入価格の平均化が出来る

株式投資で儲けるには安い時に買って高い時に売るのが原則ですが、投資初心者にはいつが安いのか高いのかの判断が出来ません。

従業員持株会では毎月定期的に決まった金額を購入するので、株価が下がった時には株式を多く買い上がった時には少なく買う事で、購入価格を平均化するが出来て大きく損するリスクが少なくなります。

この方法を「ドルコスト平均法」といい、長期運用をする上では非常に有利な方法となっています。

出典:ZAIオンライン

上記は「ZAIオンライン」の記事から引用したものですが、長期的に運用するのであれば従業員持株会は自動でこれを行ってくれるようになっています。

なおつん(左)
なおつん

以下の関連記事では、「ドルコスト平均法」について私の投資実績をもとにより詳しく解説しています。⇩

従業員持株会のデメリット

従業員持株会のデメリットは以下の通りです。

① 経営者・会社側のメリットの方が大きい
② 従業員持株会は「株式投資」と同じでリスクが高い
③ 株主の議決権が使えない
④ 株主優待が受けられない
⑤ 持株を売却するのに手間が掛かる
メリットも多いこの制度ですが、デメリットや注意点についても詳しく解説していきます。
経営者・会社側のメリットの方が大きい

従業員持株会のメリットで説明した「従業員の士気向上」については、実は経営者と会社側のメリットの方が大きい事が真実です。

この理由は、従業員に自社の株式を購入させることで発行された全株式の保有割合を従業員で占める割合を増やし株価の安定的な上昇が見込めるためです。

また、従業員は毎月定期的に株式を購入する事になっているので、多少ですが株価を安定させたりする効果もあります。

株価は需要と供給の原理が働くため、供給量が少なくなれば必然的に価値は高くなります。

そのため、決められた株式数の中で従業員が定期的に自社株を買付けしてくれれば、安定的に株価の上昇が見込める事が経営者側のメリットとして挙げられます。

経営者から見た時にこの制度をどのように考えるかは、その会社の風土や経営者の判断が影響するといえます。

従業員持株会は「株式投資」と同じでリスクが高い

従業員持株会は給料から自動で買付けしてくれるため、社員の管理の手間が少ないことがメリットでしたが、その一方で加入している事自体を忘れている人が意外と多いようです。

会社に入社した時の説明会などでこの制度については説明されるはずですが、この時期は会社の事などを事を一気に説明されるので、良く覚えておらず何となく良さそうだから加入したという人も多いのかも知れません。

しかし、従業員持株会は間接的に株式を購入する事になるので「株式投資」と同じで高いリスクが伴います。

企業の業績が上昇基調にある時は、持株会によって自分の資産も右肩上がりに増えていく事が期待できますが、長期的に見て今後の業績が厳しいのであれば資産が目減りするリスクは常に抱える事になります。

特に上場している企業の株価は毎日変動しますので、自分の資産が毎日変動するという事になります。

 

投資の原則は「分散投資」が基本であり、様々な分野の企業・国・資産に分散して投資する事でリスクを抑えるのが投資のセオリーです。

その一方で、従業員持株会に加入する事によって、会社で働いて得た給料で自分の会社の株式を購入する事になるので「分散投資」とは逆の「集中投資」をしている事になります。

万が一会社が倒産した場合の事を考えると、給料も失い持株会の資産も紙くず同然になるため、より会社への依存度がより高くなっている事を理解しておくべきだといえます。

 

株主の議決権が使えない

従業員持株会は従業員が間接的に株式を購入している事になるので、従業員が株主総会での議決権はありません。

通常、企業のオーナーである株主は会社の運営方針や業績について発言したり、意見を言ったりする権利がありますが、従業員持株会の会員である従業員は会社の運営を指図する決定権などは与えられていません。

 

株主優待が受けられない

従業員持株会の加入者は株主に贈られる商品券や割引券などの優待を受ける事が出来ません。

株主優待の制度そのものは日本特有の文化のようですが、優待が欲しい場合は従業員持株会ではなく、通常の市場で株式を購入する事が必要です。

注意点としては社員が自分の会社の株式を市場で購入する場合は、違法なインサイダー取引に該当する可能性があることですが、そこまでリスクを侵して優待を受ける必要は無いと個人的には思います。

 

持株を売却するのに手間が掛かる

持株会の株式を売却して現金化する時には社内の手続きに従って売却する必要があります。

企業によっては売却理由を尋ねられる事もあるようで、社内での評価や情状に影響するなんて話も聞いた事があるので、どうしてもお金に困っている場合を除いては安易に売却をしない方が良いかも知れません。

また、実際に持株を売却する時には、証券口座に株式を移管してから売却する必要があるので、指定された証券口座の開設などの手間が掛かります。

従業員持株会が向いている人

ここまで従業員持株会のメリットとデメリットを解説してきましたが、この制度が向いている人については以下の人が当てはまります。

・出来るだけ今の会社で長く勤めようと考えている人
・今の会社に勤める事が誇りに思っている人
・長期的に見て今の会社の業績が安定する事が判断出来る人
・持株会で多少の損をしても生活に全く影響がない人

今勤めている会社で定年まで勤めあげて、骨を埋めるくらいの気持ちがある人にとってはこれ以上ない最高の制度だと言えます。

その会社で毎月持株会でコツコツ株式を購入しながら長年勤めて、定年退職した後はその株式を保有しながら定期的に配当を受けながら生活をするというのも良いかも知れません。

現役を退いた後も会社の業績やニュースが気になるかもしれませんが、それだけその会社に愛着がありずっと応援したいという気持ちの面を考えると、企業の株主になるというのは決して悪い話ではありません。

今の会社に勤める事が誇りに思っている人は、自らが株主として会社に関わっているという事実は精神的な面でも良い事だと言えます。

もちろん老後の豊かな生活をするだけの十分な資産が他にもあり、生活に支障のない余剰資金で行う事が前提での話ではあります。

その一方で時代は常に変化しており、同じ会社で長く勤めるという考え方も変わってきているので、自分のライフスタイルに合わせた方法を選択するのが賢い判断だと思います。

従業員持株会のちょっと裏話

従業員持株会については様々なうわさを耳にする事がありますし、私もインターネットで従業員持株会について調べる事がよくあります。

私が聞いた話では、一部の企業では従業員持株会に加入している事が出世の条件としている企業もあるようです。

この例は極端な例かも知れませんが、従業員持株会は従業員の資産を会社に預け入れさせて、会社に対する社員の依存度を高くする事で、忠誠心をより高める状態を作り上げるという思惑があるように思えます。

会社で働いた給料でその会社の株式を購入するという事は、給料面と資産の両方の側面からも会社に集中する事になるので、万が一その会社の業績が悪化して倒産となれば給料を失うだけではなく、資産も大きく目減りする事にもなります。

「従業員持株会の制度を採用して従業員の士気を向上させる」という言葉の裏を返せば「会社と一蓮托生」という道を歩むことになりますので、ご自身の会社の将来を見据えた慎重な判断が求められます。

ただ、最近は経済的自立して早期退職する「FIREムーブメント」という言葉が流行しているので、会社で出世をしなくても良いという考え方も広まっています。

こういう時代の変革によって、企業としても従業員持株会に加入する事が出世の条件にするという風潮を作る事は今後はよりいっそう難しくなるかも知れません。

まとめ

今回解説した従業員持株会は、メリットは多い一方で人によって向き不向きがあったり、勤めている会社の将来性を真剣に考えた時に、投資をするかどうかの判断が非常に難しいところだと思います。

従業員持株会をやらなくても有効な投資手法は「NISA(ニーサ)」や「iDeCo(イデコ)」など他にも多くあるのでので、特に投資初心者はこれらの制度をまずは理解して資産運用を始めてみるのが良いかと思います。

お金に関する事で不明なところはご自分でしっかり調べるか、勤めている会社に問い合わせるなどしてから決める事を強くおすすめします。

このブログでは会社員や学生さんの役に立つ情報や考え方を発信しています。

ぜひ興味があれば別の記事を読んでいただきお役に立てればと思います。

なおつん Lv.若手平社員

30代会社員のなおつんです。
このブログでは30代会社員の悩みを同じ会社員へ向け共有し、今日よりも明日へ一歩前進できるような記事を書いています。

私は製造業(メーカー)の営業系の部署で働いており、年に数回海外出張もします。

個人投資家として様々な投資案件もチャレンジしてFIREを目指して奮闘中です。
会社員や投資家の方にとって有益な情報を発信しています。

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30代会社員ブロガーの末路