損失限定型投資信託「SMBC・アムンディ・あんしんスイッチ」が繰上償還で何が起こる?

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30代会社員のなおつんです。

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2021年8月にアムンディ・ジャパン株式会社から限定型投資信託である「SMBC・アムンディ・プロテクト&スイッチファンド(愛称:あんしんスイッチ)」という投資信託が繰り上げ償還される事が発表されました。

「限定型投資信託」とは何か、また「繰り上げ償還」されることでどんな事が起こるのかを分かりやすく解説していきます。

私は資産運用の実績をこのブログで公開しているので、気になる方は関連記事もぜひご覧ください。

「損失限定型投資信託」とは何か

投資や資産運用を勉強して自分で実践している人でも「損失限定型投資信託」というのはあまり聞きなれない言葉かも知れません。

「損失限定型投資信託」は、その名前の通り損失が限定されている投資信託の事であり、株価が下落した場合において基準価額が極端に下がって一定の基準に達した場合、そこで繰り上げ償還する事である程度までは資力を保証してくれるという特徴があります。

損失限定型投資信託の基準価額がプロテクトラインに達した時のイメージ図

 

上記は損失限定型投資信託の例ですが、基準価額がプロテクトラインに達した時のイメージ図です。

プロテクトラインとは、損失限定型投資信託を設計するときにあらかじめ設定される下限値の事で、この下限値を下回るような場合には、これ以上損失を拡大させないためにプロテクトラインの基準価額で繰り上げ償還するようになっています。

上記の場合はプロテクトラインが9,000円に設定されているので、株価の暴落により基準価額が9,000円を下回ってしまった場合、ファンドは9,000円で償還される事となり、ある程度の損失を抑える仕組みになっています。

「損失限定型投資信託」は、「リスク限定型投資信託」と呼ばれる場合もありますが、基本的な構造や仕組みは同じです。

実際に損失を限定させる資力を確保する仕組みは、基準価額がプロテクトライン以下になった時の差額分を「保証銀行」が補填してくれることで、プロテクトラインでファンドを償還する事を可能にしています。

一般的にはファンドが保証銀行と予め保証契約を結ぶことによって、ある程度の損失が回避出来るようになっていますが、注意点は元本が全て保証されている事ではないのと、保証契約によって発生する手数料は投資家が間接的に支払っている事です。

 

以下は「アムンディ・あんしんスイッチ」の運用レポートから抜粋した基準価額の推移です。

アムンディ・あんしんスイッチの資料から抜粋

青の線は基準価額で、赤いプロテクトラインを示しています。

2020年3月頃に基準価額が急下降し、その後も基準価額は回復することなくじりじりと下がり続けて、ついに2021年7月にプロテクトラインに到達している事が見て分かります。

2020年3月頃はコロナウイルスによって世界的に株価が暴落した時期でありましたが、このファンドにおいては基準価額は回復する事なかったという結果になりました。

繰り上げ償還されるとファンドはどうなる

損失限定型投資信託以外のファンドにおいても、度々「繰り上げ償還」がされる事がありますが、繰り上げ償還されるとファンドがどうなるのかを解説します。

繰り上げ償還とは、信託期間(運用期間)が初めから決まっていたファンドに対して、予定よりも早い期間で運用が終了することをいい、主に以下のような場合に繰り上げ償還が実施されます。

① 目論見書に記載のある基準に達した時(口数や純資産額が下回った時)
② 運用会社がこれ以上の運用は難しいと判断した時

簡単にいうと「もう運用しても利益が出る見込みがない」と判断したときに、ファンドの運用を止める行為の事です。

つまり商品が販売終了する事を意味するので、もう投資する事が出来なくなります。

また、保有していたファンドが繰り上げ償還になった場合については、そのファンドの純資産額をファンド口数で割った価格を「償還価額」として、口数に応じて分配されます。

繰り上げ償還されたからといって、投資家の資産がゼロになるわけではありませんが、償還価額が購入した時の基準価格よりも下回っていて損失が出る場合もあります。

繰り上げ償還は、純資産額や口数が設定された基準に達した場合に行われる事が多いですが、具体的には口数がファンドの設定当初の10分の1以下になっている事や、純資産額が10億円を下回っている事が繰り上げ償還されるおおよその目安になっているようです。

「SMBC・アムンディ・あんしんスイッチ」はどうなる

「SMBC・アムンディ・あんしんスイッチ」は2021年8月に繰り上げ償還される事が決定しましたが、アムンディ・ジャパン株式会社から発表された内容を解説していきます。

アムンディ・ジャパン株式会社からの発表の概要は以下の通りです。

1、「SMBC・アムンディ・プロテクト&スイッチファンド(愛称:あんしんスイッチ)」が2021年8月4日をもって繰り上げ償還される事が決定した事について
2、繰り上げ償還決定後の今後スケジュールと手続きについて
3、コロナショック後になぜこのファンドの基準価額が回復しなかったのかについて
4、ファンド設定日から現在までの投資行動につい

このファンドが設定されたのは2017年7月なので、わずか4年間と意外にも短い期間で繰り上げ償還が決まってしまいました。

繰り上げ償還が決定した「SMBC・アムンディ・あんしんスイッチ」ですが、今後のスケジュールは換金申込受付最終日が2021年8月27日で、繰り上げ償還日・償還価額が9月2日、償還金支払日が9月3日以降となっています。

「SMBC・アムンディ・あんしんスイッチ」運用レポートから作成

つまり、9月2日に返金される金額が決まり、9月3日以降に支払いがされるという段取りとなっています。

この期間に基準価額がプロテクトラインである9,000円を下回る事はありません。なぜならば、この期間においても保証契約が有効になっているためです。その一方で償還・返金がされるまでは保証料が毎日控除されることになっています。

「SMBC・アムンディ・あんしんスイッチ」ですが、設定日からの基準価額の推移を見ると新型コロナショックに大きく落ち込みその後はほとんど回復していません。

この理由については、このファンドがコロナショック後に世界経済の低迷が長期化する事を懸念して、慎重なスタンスを維持した結果、株式の比率を限りなくゼロにした事が要因だと説明されています。

運用レポートから抜粋

過去の運用期間においては株式や債券を保有する期間もありましたが、コロナショック以降はほとんど実質現金100%に近い運用となっており、運用が終了しています。

このファンドが償還されて投資家に返金がされれば、このファンドの短い運用期間は幕を閉じるという事になります。

「損失限定型投資信託」は買うべきか

今回は損失限定型投資信託である「SMBC・アムンディ・あんしんスイッチ」というファンドを紹介しました。

このファンドは繰り上げ償還される事が決定しましたが、現在でも似たようなファンドは販売されており、一定の人気を集めているようです。

しかし、投資家にとってみれば損失限定型投資信託は買うのを躊躇う商品といえますが、その理由については以下のような理由があります。

① アクティブファンドである
① 高い信託報酬に加えて保証料も発生する

② プロテクトラインが存在する事が前提である

一般的にアクティブファンドは短期的に利益を出すための購入するのが良いとされていますが、今回解説した「SMBC・アムンディ・あんしんスイッチ」は、どの場面においても利益を出すのが難しかったファンドだといえそうです。

それは基準価額の推移を見れば明らかで、設定日からコロナショック前までは基準価額がほぼ横ばいとなっており、その後も一度も回復をしなかったという事にあります。

アムンディ・あんしんスイッチの資料から抜粋

このファンドは明確に「アクティブファンド」とは謳ってはいませんでしたが、見るからにアクティブファンドの特徴があり、これは中長期運用に向かない傾向があるので、長期投資家にとってはあえて購入する理由が見つかりません。

これに加えてファンドの運用コストが非常に高い事も理由として挙げられます。

損失限定型投資信託は、信託報酬のほかに基準価額を一定以上に下回らないようにするための保証が付加されているので、その分の運用コストが高くなっています。

信託報酬だけでも年率1%以上もある事に加えて、保証料も年率0.22%も発生しています。

この信託報酬と保証料は投資家が間接的に支払う事になり、運用成績に大きな影響をあたえるので、絶対に無視できない項目になります。

最後に、プロテクトラインの存在についてです。

プロテクトラインについてはこの記事で何度か説明したように、基準価額が下回らないように保証する仕組みであるため、一見リスクを嫌う投資家にとって安心感を与えてくれます。

しかし、着実に利益を出し続けている優秀なファンドにおいては基準価額は多少下回る事があっても、その後はしっかりと回復して好成績を出しています。

上記は2017年7月28日から2021年8月4日までのアメリカS&P500指数の推移ですが、コロナショックによって一時的に暴落はしているものの、そのあとはわずか数か月で回復し2021年8月には何度も最高値を更新するまでになっています。

これは世界的な経済政策と大規模金融緩和の恩恵がありますが、「SMBC・アムンディ・あんしんスイッチ」はその恩恵を全く受ける事は出来ませんでした。

プロテクトラインがあるような損失限定型投資信託は、基準価額が下がってしまう事が前提にあるのではと思ってしまうくらい世界の株価の上昇局面でも基準価額が成長しないという悲しい結果となっています。

つまり、このファンドは他のファンドが落ちるときには一緒に落ちて、上がるべき時には一緒に上がらないという悪いところだけを受け継いだファンドとなってしまっています。

「SMBC・アムンディ・あんしんスイッチ」の説明にはこの事についての解説もしており、基準価額がプロテクトラインに近づくと弱気な運用となり、プロテクトラインから離れる上昇局面では強気な運用スタンスになる傾向があるとしています。

この運用スタイルが仇となってしまい、今回の運用結果になっているのだと考えられます。

このファンドを買うのであれば「つみたてNISA」などの制度を活用して、長期投資向けのインデックスファンドを購入する方が資産形成には向いているといえます。

まとめ

「損失限定型投資信託」は購入する必要は無いという事が今回の結論でしたが、「SMBC・アムンディ・あんしんスイッチ」が繰り上げ償還されて、その要因を理解する事で買ってはいけない理由が分かります。

「プロテクトライン」があるから安心だと思わないで、その裏にある運用コストや成績をしっかりと見極めて投資判断を行うようにする必要があります。

またプロテクトラインがある損失限定型投資信託とはいえ、元本が保証されておらずそれなりのリスクも伴うのでこの点は注意が必要です。

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ぜひ興味があれば別の記事を読んでいただきお役に立てればと思います。

 

なおつん Lv.若手平社員

30代会社員のなおつんです。
このブログでは30代会社員の悩みを同じ会社員へ向け共有し、今日よりも明日へ一歩前進できるような記事を書いています。

私は製造業(メーカー)の営業系の部署で働いており、年に数回海外出張もします。

個人投資家として様々な投資案件もチャレンジしてFIREを目指して奮闘中です。
会社員や投資家の方にとって有益な情報を発信しています。

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