30代会社員のなおつんです。
「SOMPO123 先進国株式」というアクティブファンドなのに、インデックスファンドよりも信託報酬が安いファンドがSOMPOアセットマネジメントから発売されたので、このファンドの概要について解説します。
私は資産運用をこのブログで公開しているので、興味がある方は関連記事をぜひご覧ください。
「SOMPO123 先進国株式」の概要
「SOMPO123 先進国株式」はSOMPOアセットマネジメントが設定・運用しているファンドです。
このファンドの特徴は以下のとおりです。
運用会社名:SOMPOアセットマネジメント
販売会社:auカブコム証券、SBI証券、PayPay銀行、松井証券
主な投資先:日本を除く内外の株式
純資産総額:6.7億円(2022年2月現在)
為替ヘッジ:なし
設定日:2021年12月21日
決算頻度:年1回
購入時手数料:なし
信託財産留保額:なし
信託報酬:0.077%
このファンドの最大の特徴はアクティブファンドなのにもかかわらず、インデックスファンド並みに信託報酬が低いということです。
これまでは全世界の株式に投資出来るファンドの中で、信託報酬が低いといわれているeMAXIS Slimシリーズでも0.1%代でしたので、0.077%というのは投資業界でも話題を呼んでいます。
このファンドについてもう少し深堀して見ていきます。
上位組入銘柄
SOMPO123 先進国株式が実質的に投資を行う企業の上位10社は以下の通りです。

「企業名(本社所在国):構成比率」で表しています。
MICROSOFT CORP(アメリカ):4.5%
ALPHABET INC-CL A(アメリカ):3.6%
AMAZON.COM INC(アメリカ):2.8%
META PLATFORMS INC-CLASS A(アメリカ):1.9%
NVIDIA(アメリカ):1.8%
ASML HOLDING NV(オランダ):1.3%
THE WALT DISNEY CO.(アメリカ):1.3%
ENBRIDGE INC(カナダ):1.3%
LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON SE(フランス):1.3%
上位組入銘柄の多くがアメリカの企業が多く、いわゆるGAFAMが大きな割合を占めています。
その一方で、最近よく話題に上がる「TESLA」が組入銘柄に入っていなく、このあたりはアクティブファンドである事を物語っています。
為替ヘッジはしない
このファンドは「為替ヘッジなし」なので、為替の変動が運用成績に影響をあたえます。
為替ヘッジに関しては関連記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
運用コストは本当に安い?
信託報酬が長期的な運用に大きな影響を与えるという話は、このブログでいつもしています。
下記のグラフは、信託報酬0.15%のインデックスファンドと、信託報酬1.1518%のアクティブファンドに初期投資額100万円を年間3%で35年間運用した時を比較したグラフです。
グラフから見て分かるように、最終的なリターンは140万円以上の差が生まれる事が分かります。
SOMPO123 先進国株式は信託報酬が0.077%と激安な設定になっているので、長期的な運用にはもってこいのはずですが、そもそもこのファンドはアクティブファンドなので長期運用には向かいのではと疑問になると思います。
確かに信託報酬は低いのですが、交付目論見書には信託報酬以外の手数料に関しても記載がありました。

SOMPO123 先進国株式の交付目論見書から引用
注目したいのは②にある品貸料にかかる費用の55%の手数料についてです。
このファンドが運用開始されてから、今までに貸付をおこなっていないのでまだ実際に発生したコストは分かりませんが、投資家はここが気になるポイントです。
「品貸料」とは?
「品貸料」とは、空売りした株が不足した時に、その株を売りたい人が支払う費用の事で「逆日歩(ぎゃくひぶ)」と呼ばれる事もあります。
空売りは、自分が持っていない株を他人から借りてから売る事で利益を出す投資手法ですが、その株を借りている間にかかるコストとイメージすれば問題ありません。
つまり株を借りてでも売りたいという人に対して、「貸してあげるけど、その分の費用を払ってね」というのが品貸料となります。
SOMPO123 先進国株式では、ファンドが保有する株式の貸し出しをする時、株が足りなくなったら機関投資家から借りる事になりますが、この時のコストの55%を投資家が間接的に支払うということになります。
逆に貸株によってファンドに利益が出れば、その利益は投資家にも還元されるという仕組みになっています。
ファンドについて「Yahoo❕ JAPAN」の記事の抜粋
このファンドについて「Yahoo! JAPAN」が記事を出していたので、気になった文章をいくつか抜粋します。
信託報酬が破格の理由は?
ますは記事の抜粋を紹介します。
「対面販売はシニア層が多く、一括投資をする方が主流で、保有期間も比較的短めです。それに対し、現役世代で積み立てを行っている方は長期投資で解約されにくいことに注目しました。大手ネット証券5社における投信積み立ての推移を検証すると、21年は月間ペースで平均69億円ずつ買い付け額が増えています。SOMPO123先進国株式がその一部のシェアを獲得するだけでも、採算は合うのではないかと考えました」”
ここで書かれているのは、長期投資家はすぐに解約しないから、手数料を低くしてもファンドは十分に採算が取れるという事です。
たしかに運用期間が長ければ、少ない信託報酬に設定しても長期間の運用による手数料収入はある程度期待ができます。
運用成績は「MSCIコクサイ」に近い
こちらもまずは記事の抜粋です。
先ほど紹介したように、このファンドはアクティブファンドに分類されますが、インデックスファンドの構成銘柄から、ファンドマネージャーが123銘柄だけを厳選して組入しています。
つまりこのファンドの中身はインデックスファンドに近い内容となっており、MSCIコクサイに近い成績を期待できるとのことです。

MSCIコクサイに連動するインデックスファンドは、「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」や「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」などがあります。
「SOMPO123 先進国株式」の総評は?
アクティブファンドでありながら、インデックスファンドよりも信託報酬が低い衝撃のファンドが誕生しました。
しかも運用成績はMSCIコクサイに近い成績を期待できるということで、投資家の期待も高まる優れたファンドであるといえます。
唯一の懸念点は実質的な「品貸料」のゆくえ
このファンドを購入する時の唯一の懸念点は、まだ明らかになっていない品貸料です。
ファンドが運用開始されてから2022年2月現在までに、まだ貸株の実績がないので、今後ここにかかるコストがどれくらいになるのかは気になるポイントです。
信託報酬と品貸料に支払う実質的なコストがインデックスファンドよりも高い場合は、あえてこのファンドを購入する理由はなく、これまで通りインデックスファンドを購入する方が長期的な運用は良いと思います。
ライバルとなるファンドの誕生に期待
SOMPアセットマネジメントから誕生したファンドは非常に興味深い内容でした。
ここ数年で信託報酬などの運用コストが下がっている傾向にある事を考えると、今度も似たようなファンドが出てくることを期待したいと思います。
同様の2つ以上のファンドを比較した時にそのファンドの真価が分かると思うので、各社から出るのを待ってから購入を検討しても遅くはないはずです。
まとめ
今回紹介した「SOMPO123 先進国株式」は、インデックスファンドよりも低い信託報酬がウリでしたが、ファンドのコストは信託報酬だけでないことも分かりました。
これらの情報に関しては、「目論見書」か「運用レポート」などで確認しないと分からない情報なので、目新しいファンドが出た時にメリットばかりに気を取られて即購入してしまうのは避けたいところです。
興味があればぜひ別の関連記事を読んでいただきお役に立てればと思います。