30代会社員のなおつんです。
このブログでは30代会社員の悩みを同じ会社員へ向け共有し、今日よりも明日へ一歩前進できるような記事を書いています。
今回は2021年6月に東証に上場した「東海道リート投資法人」という組織について解説して、儲かる投資先として適格なのかを決算短信のデータから読み解いて評価をしていきます。
私は資産運用の実績などをこのブログで公開しているので、気になる方は関連記事もご確認ください。
「東海道リート投資法人」とは
「東海道リート投資法人」は、静岡県・愛知県・三重県を中心とした不動産に投資をする事業を行う法人の事です。
日本の東西の大動脈である東海地域に焦点を当てて、持続可能な産業地域に投資をする事で投資の価値向上を目指す組織です。
最近では個人でも不動産投資として「ワンルームマンション投資」や「アパート経営」などが流行していますが、それを法人が行っていると考えてもらえば理解しやすいと思います。
東海道リート投資法人がスポンサー企業からの出資を受けて、不動産を運用するという仕組みで行っており、投資対象は産業インフラとしての不動産と生活インフラとしての住居などがあります。
期間運営・計算・会計・税務などの一般事務は外部へ委託し、資産運用は東海道リート・マネジメント株式会社へ委託するという構造になっています。
以下は東海道リート投資法人の概要です。
代表者名:執行役員 江川 洋一
所在地:東京都千代田区永田町二丁目14番3号
設立:2021年1月25日
上場日:2021年6月22日(銘柄コード:2989)
資本金(出資総額):約170億円(決算短信のデータから)
また、資産運用会社である東海道リート・マネジメント株式会社の概要は以下の通りです。
所在地:東京都千代田区永田町二丁目14番3号
設立:2018年4月27日
資本金:1億円
代表者名:代表取締役社長 江川 洋一
資本構成:
ヨシコン株式会社 55%
中部電力ミライズ株式会社 10%
木内建設株式会社 5%
静岡ガス株式会社 5%
株式会社静岡銀行 5%
静岡不動産株式会社 5%
鈴与株式会社 5%
清和海運株式会社 5%
日本国土開発株式会社 5%

東海道リート投資法人と東海道リート・マネジメント株式会社は同じ代表者であり、設立もマネジメント会社の方が早い事から、組織の機能を振り分けるために投資法人を設立したという背景がありそうです。
「東海道リート投資法人」中間決算短信データから分かる事
東海道リート投資法人は2021年9月にプレスリリースで中間決算短信を発表しています。
事業の収益や発生した費用などが書かれていますが、これを元に会計上の数値を使って評価をしていきます。
今回は東海道リート投資法人の決算短信の中から重要な数値だけを私が独自に抜粋したものを使用して評価していきます。
また、一部の会計数値は半期のデータだと正しい計算が出来ないので、東海道リート投資法人の半期のデータを2倍にして年間推定額に換算しています。
実際は1年経過してみないと本当の数値が出ないので、仮の数値という事をご了承ください。
売上高営業利益率(ROS)
売上高営業利益率は、売り上げに対して経費を引いた利益がどのくらい出ているかという数値で、事業がどのくらい効率的に運営が出来ているかを表す数値です。
英語では「Return On Sales」と呼ばれるので、頭文字を取ってROSと呼ばれる事も多々あります。
東海道リート投資法人の売上高営業利益率(ROS)は、売上高2.4億円に対して1.2億円の営業利益があるので49.0%となっています。
経済産業省が発表している全業種の平均ROSが5%程度と考えると驚異的な数値ですが、設立してから間もないため一時的な数値かも知れません。
また、経常利益はマイナスとなっていますが、これは法人の設立費や融資関連費用として計上されているためです。
自己資本利益率(ROE)
自己資本利益率は「Retun On Equity」とも呼ばれるので、ROEと呼ばれる事があります。
株主の財産である純資産からどのくらいの利益を出す事が出来たかという数値です。
本来は当期純利益を使用して計算しますが、東海道リート投資法人の決算短信のデータでは半期で赤字になっているので、今回は特別に営業利益で計算すると1.4%となっています。
もちろん半期の売上である1.2億円を2.4億円としてROEを計算した結果です。
ROEは特に株主がとても気にする数値ですが、日本の上場企業のROEは2018年のデータで9.4%となっているので、東海道リート投資法人の数値ではかなり低い数値である事が分かります。
投資法人の株主にあたるのは出資しているスポンサー企業となりますが、そのスポンサーに還元できる純利益が出資額の1.5%だと少し投資のうまみに欠けるかも知れません。
総資産利益率(ROA)
総資産利益率は、貸借対照表の総資産と純利益の関係を表した数値で、会社の資産をどのくらい効率的に運用が出来ているかという事が分かる値です。
英語では「Return On Assets」というので、ROAとも呼ばれます。
東海道リート投資法人のROAは0.7%となっています。(本来純利益を使うところを今回は営業利益に置き換えて計算しています。)
ROAは基本的に前述のROEよりも数値が低くなりますが、それでも0.7%というのは日本全体の平均である3.9%と比較するとかなり低い数値です。
「投資法人なので…」という言い訳は出来そうですが、まだ設立して日が浅いので摂理費などの費用が含まれている事も影響があるかも知れません。
ちなみに東海道リート投資法人が保有している不動産の総額は約303億円となっているので、ここから半期で得られた営業利益約1.2億円の通期として2倍の2.4億円で計算すると、保有不動産の利回りは1.5%程度になります。
自己資本比率
自己資本比率は財務の安定性を計る指標となっており、総資産に対して純資産がどのくらいあるかで計算する事が出来ます。
貸借対照表の純資産と総資産が参考となりますが、東海道リート投資法人に当てはめて計算すると50.4%となります。
自己資本比率は40%以上あると財務体質が安定していると言われますので、財務自体は問題ないといえます。
スポンサーがかなり出資をして設立をしている法人ですので、設立からすでに財務体質が危ないという状態に陥るのはは可能性は低いと思われます。
有利子負債依存度(D/E レシオ)
有利子負債依存度は、「デッド・エクイティ・レシオ(D/E レシオ)」と呼ばれるもので、企業などが借入金などの負債にどれだけ依存しているかという事を表す数値です。
東海道リート投資法人の有利子負債依存度は91.2%となっています。
業界や業種によって有利子負債依存度の適正値は幅がありますが一般的に50%以上あれば過大だといえるので、かなり負債に頼っている状況といえます。
ただし設立して間もないので利益が積み上がるまでは仕方がないと思います。
営業キャッシュフローマージン
営業キャッシュフローマージンは、営業によって獲得出来た現金収入が売上高のどのくらいの割合があるかという事を表す指標です。
これが15%以上あると健全と言われていますが、東海道リート投資法人の決算短信では営業キャッシュフローがマイナスなのであまりあてになりませんが、マイナス176.9%となっています。
ちなみに営業キャッシュフローマージンが15%に到達するには、営業キャッシュフローが年間7,300万円程度必要です。
総合評価
東海道リート投資法人は、不動産投資によって利益を出す構造になっている事から一概に一般企業と比較して良し悪しを判断できるものではありません。
また、今回は設立から間もない決算短信のデータの情報を使った事や、当期純利益ではなく営業利益を使ったことなどを考えると正確にこの組織を判断するには少し材料が足りませんが、組織の全体像は掴めたと思います。
今回計算した各数値をもとに私が独断で評価をした結果が以下の通りとなっています。
※数値は決算短信のデータを年間に換算して計算
営業利益はしっかり出ている事や自己資本比率が高い事は評価ポイントが高い一方で、資産から生み出される利益と比較すると多少残念な部分はあります。
また、営業キャッシュフローがマイナスである事も含めると、組織全体としてはまだまだ過渡期にありまそうです。
もちろん投資法人なので一般企業に当てはめての評価なので、今後は投資法人としてスポンサーにどのくらい利益の還元が出来るかが勝負となっています。
また、上場した事で私たち投資家も個別株として東海道リート投資法人の株式を保有できるので、興味がある人が検討してみても良いと思います。
まとめ
今回は東海道リート投資法人の決算短信データから各数値を当てはめて計算し評価までしました。
半年間のデータであることや設立から間もない事を考えると、まだこれから成長の幅がある組織だと言えそうです。
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ぜひ興味があれば別の記事を読んでいただきお役に立てればと思います。