【深刻】バンカーズ欧州フィンテック事業者支援ファンドの最新運用報告書|返済時期は不透明なまま
本記事では、投資家からも不安の声が多い 「欧州フィンテック事業者支援ファンド(円建て・ドル建て・ルーブル建て)」 の最新運用報告書(2025年10月期)をもとに、現在の状況を分かりやすく解説します。
特に本シリーズはロシア関連企業へ貸し付けている影響を大きく受けており、返済遅延が長期化、しかも 返済時期がまったく見通せない という、投資家にとって非常に厳しい状況が続いています。
2025年10月_欧州フィンテック事業者支援ファンド_全号運用報告書
1. 結論:返済の見通しは依然として「不透明」
2025年6月から10月にかけて、状況は一切改善していません。
報告書の要点は以下のとおりです。
- 返済時期は不透明なまま
- ロシア国内の「特別口座」には資金があるとされるが確認できず
- 資金の引き出しはロシア法上ほぼ不可能
- 現地弁護士を通じて調査中だが進展なし
つまり、投資家としては資金が返ってくるかどうか、本当に不安を抱かざるを得ない状況が続いています。
2. ファンドの構造:あなたのお金はどこに貸し付けられたのか?
このファンドの仕組みは次のようになっていました。
- 日本の営業者(バンカーズ・クラウドクレジット・ファンディング)がエストニア子会社へ貸付
- エストニア子会社が、Kviku Holdings Ltd.(キプロス籍)へ貸付
- Kviku社のロシア子会社 LLMC AirLoans が保証人
このうち Kvikuグループはロシア企業に強い依存 を持つため、ウクライナ侵攻後の制裁で返済ができない状態に陥りました。
3. ロシアが一方的に「特別口座へ入金」を主張
2024年2月、Kviku側は返済の代替手段として、ロシア国内の「特別口座」へ約8.8億ルーブルを入金したと主張。
これはロシア政府が制裁下で認めている「非友好国への返済方法」です。
しかし、この返済方式には重大な問題があります。
- 本来の契約どおりの返済ではない(営業者は受け入れていない)
- 特別口座はロシア国内の規制で ほぼ引き出し不可能
- 為替リスクが発生(ルーブルは極めて不安定)
- 利息はつかない
さらに、Kviku側は「返済を完了した」と主張しているため、交渉は完全に平行線になっています。
4. ロシア側の財務が突然悪化
運用報告書で特に深刻なのは次の記述です。
Kvikuグループの中核企業 LLMC AirLoans が、2024年上半期に大幅な赤字を計上
つまり、
・ロシア国内への入金は本当に行われたのか?
・返済原資が本当に残っているのか?
すら不透明になってきています。
5. 日本側が資金を取り戻せない理由
① ロシアから海外送金が厳しく規制
制裁により、ロシア企業は日本を含む「非友好国」へ送金できません。
② 特別口座は“ロシア国内限定”用途
引き出し可能なのは以下のようなケースに限定されています。
- ロシア国内での税金支払い
- ロシア国内での事業経費
つまり、日本側への返金はほぼ不可能です。
③ 証券保管振替機関から情報開示されない
残高を確認するために必要な手続きが、EU制裁法に抵触する可能性があるため、日本側は動けません。
6. 今後の見通し:返済は可能なのか?
運用報告書の結論は以下のとおりです。
- 資金回収の見込みは立っていない
- 特別口座からの回収は現状ほぼ不可能
- 状況は数ヶ月単位での長期化が確実
- 少なくとも「即時の返済」は期待できない
ファンド側は 3ヶ月ごとに最新状況を報告 するとしていますが、改善が見られる兆しは現時点で一切ありません。
7. 投資家が今できること
残念ながら、投資家が個別にできる対処はほとんどありません。ただし、次の3点は必ず押さえておくべきです。
① 継続的に運用報告書をチェックする
状況が動く可能性は低いものの、法的対応などが進む可能性はゼロではありません。
② 同種案件への追加投資は絶対にしない
ロシア関連・新興国P2Pローンは、地政学リスクが大きく、今後も同様のトラブルが発生しやすい傾向があります。
③ 投資ポートフォリオの見直しを行う
高利回りファンドばかりに偏らないように、上場株式 / 世界株インデックス / 債券等への分散を強く推奨します。
まとめ:資金の回収は極めて困難。長期戦を覚悟すべき
今回の運用報告書は、投資家にとって非常に厳しい内容でした。
ロシアの制裁環境、Kviku社の財務悪化、特別口座の引き出し不可能性――これらの理由から、ファンドの返済が短期間で実現する可能性は極めて低いと判断せざるを得ません。
損失を最小限にとどめるには、同様の案件への追加投資を避けつつ、今後の報告を冷静に待つしかありません。
今後も本シリーズの続報が出れば、随時記事として解説していきます。
