2025年8月、世界最大級の資産運用会社バンガードは、今後10年間の資産配分として「株式30%・債券70%」を推奨するレポートを発表しました。これは従来の「株式60%・債券40%」という伝統的なポートフォリオを大きく見直す内容であり、投資家の間で大きな波紋を呼んでいます。
この記事では、バンガードの警告の背景と根拠、そして投資家が取るべき対応について解説します。
関連記事: 円高の今、米国債券ETFが熱いってホント?
なぜ「債券70%」なのか?──背景と根拠
バンガードは、今後10年間の米国株式の年率リターンを3.3〜5.3%と予測。一方で、債券のリターンは4〜5%と見込んでおり、リスクの低い債券の方がリターンが高いという逆転現象が起きていると指摘しています[1](https://www.businessinsider.jp/article/2508-investing-advice-60-40-portfolio-vanguard-stock-vs-bond/)。
- 株式のバリュエーションが割高:シラーPERなど複数の指標が過熱感を示唆
- 株式リスクプレミアムの低下:無リスク資産(国債)との比較で株式の魅力が低下
- 債券利回りの上昇:米10年国債利回りは4.2%前後で安定
従来の「60/40ポートフォリオ」はもう古い?
これまで広く支持されてきた「株式60%・債券40%」という資産配分モデルは、株式の長期的な優位性を前提としていました。しかし、現在のように株価が割高で、債券利回りが高止まりしている局面では、より保守的な配分が合理的とバンガードは判断しています。
関連記事: 投資家マインドを鍛えよ|勝てる思考・負けない習慣とは
投資家への影響と対応策
1. 株式100%ポートフォリオは再考を
特にS&P500やオルカン(全世界株式)に全力投資している人は、リスク分散の観点から債券の導入を検討すべきタイミングです。
2. 債券ETFの活用
米国債ETF(AGG、BND)、インフレ連動債(TIP)、日本円建ての債券ファンドなど、為替リスクを抑えた債券投資も選択肢に入ります。
3. 投資期間に応じた配分調整
バンガードは「10年スパンでは債券優位」としていますが、30年以上の長期投資では株式の優位性が残るとも述べています。年齢やライフプランに応じて柔軟に配分を見直しましょう。
まとめ:今こそ「守りの資産」を見直すとき
バンガードの「債券70%」という提言は、単なる警告ではなく、市場環境に応じた合理的な資産配分の再設計を促すものです。株式市場が過熱し、リスクプレミアムが低下している今こそ、守りの資産=債券の重要性が増しています。
投資家は、自身のリスク許容度や投資期間を見直し、バランスの取れたポートフォリオを構築することが求められています。