30代会社員のなおつんです。
このブログでは30代会社員の悩みを同じ会社員へ向け共有し、今日よりも明日へ一歩前進できるような記事を書いています。
今回は「レバレッジ型ファンド(投資信託)」の概要について解説します。
このファンドは「インデックス投資では物足りない」という方へ、さらにハイリターンを狙いたいという目的で開発された商品です。
私は個人投資家としてセミリタイヤを目指して日々活動しており、このブログで資産運用の実績も公開しているので、気になる方はぜひ関連記事もご覧ください。
レバレッジ型ファンド(投資信託)の概要
「レバレッジ型ファンド」の「レバレッジ」とは本来「テコ」の事を意味する言葉です。
このファンドは、テコの原理と同じように小さい資金で大きな資金を動かす事が出来ることから、「レバレッジ型」という名前が付けられて商品化されています。
「レバレッジ」は、会社の会計や財務の現場においても時々使われる言葉ですが、イメージとしてはどの公園にも大抵は置いてあるシーソーのように考えてもらえば分かりやすいと思います。
小さな資金でも大きな金額の取引が可能になるため、運用時の利益も大きくなるというのがレバレッジの基本的な考え方です。
「レバレッジ型ファンド」の特徴は以下のようになります。
② 基本的に「為替ヘッジ」がある
③ 「レバレッジ型ファンド」とは逆の「インバース型ファンド」も存在する
これらの特徴について詳しく解説していきます。
① ハイリスク・ハイリターンな商品である
レバレッジ型ファンドの最大の特徴はハイリスク・ハイリターンという事です。
例えば日経平均株価の2倍のレバレッジ商品の場合だと、日経平均株価が10%値上がりした場合、レバレッジ型ファンドは2倍の20%上昇する事になります。
それとは逆に、日経平均株価が10%下落した場合も、レバレッジ商品は2倍の値動きをするので、20%も下落する事になります。
このように値上がりした時には大きなリターンが狙える一方で、値下がりした時は大きな損失が出ることになり、これがハイリスク・ハイリターン商品といわれる理由です。
ちなみに「レバレッジ型ファンド」の中には、レバレッジ2倍の商品以外にも3倍や4倍などいったさらに高いレバレッジを掛けられる商品も存在しています。
② 基本的に「為替ヘッジ」がある
「レバレッジ型ファンド」の中でも海外に投資をしているファンドは、基本的に為替の影響を小さくするために「為替ヘッジ」されている商品が多いです。
「為替ヘッジ」は、海外の株式などを売買する時に日本円から外貨に交換する際の為替によって受ける影響を減らすために開発された仕組みです。
一般的な投資信託では、同じ商品の中でも「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」が選択できるものが多く、その人の好みによって選択する事ができます。
「レバレッジ型ファンド」では、ただでさえ指数の倍の値動きをするハイリスク・ハイリターンなので、さらに為替の影響も受けるとなると非常に不安定な商品になることから、せめて為替のリスクだけでも抑えたいという事だと思います。
③ 「レバレッジ型ファンド」とは反対の「インバース型ファンド」も存在する
「レバレッジ型ファンド」はレバレッジを掛ける事でファンドの値上がりに期待して運用する商品ですが、それとは逆にファンドの値下がり時に利益を出すタイプのファンドの事を「インバース型ファンド」といいます。
「レバレッジ型ファンド」を「ブル型ファンド」、一方で「インバース型ファンド」を「ベア型ファンド」と呼ぶこともあります。

出典:auカブコム証券
「インバース型ファンド(ベア型ファンド)」では、連動する指数が値下がりした時にファンドの基準価額が上昇する特徴があるため、指数が下落傾向にあるときに購入して利益を出すタイプの投資上級者向けの投資信託といえます。
今回の解説では主に「レバレッジ型ファンド(ブル型ファンド)」を中心に取り上げて解説しています。
レバレッジ型ファンド(投資信託)は購入すべきか
「レバレッジ型ファンド」は購入すべきかという疑問に対しての私の回答は、「余裕資金であれば購入しても良い」という事です。
ただし、年齢や家族構成・生活環境などその人が取れるリスクの大きさは人によって様々ですので、個人で判断する必要がありますが、ここでは「レバレッジ型ファンド」のメリットとデメリットについて紹介します。
レバレッジ型ファンドのメリット
「レバレッジ型ファンド」の最大のメリットは投資している指数が値上がりすれば、通常よりもかなり大きなリターンを得られるという事です。

引用:目論見書
上のグラフは通常のインデックスに対して、「レバレッジ型ファンド」がどのように値動きするかという事を表したグラフですが、上昇には通常のインデックスに対して高いリターンを出している事が分かります。
このため「レバレッジ型ファンド」は通常のインデックス投資では少し物足りないと思っている人や、もう少し高いリターンを狙いたいという人には向いている商品です。
レバレッジ型ファンドのデメリット
「レバレッジ型ファンド」のデメリットは、先ほども解説したようにハイリスク・ハイリターンという事ですが、基準価額が毎日上がったり下がったりして横ばいの状況では、このファンドは非常に不利となり損失が出る可能性がぐっと高くなります。
このため「レバレッジ型ファンド」は、通常のインデックス投資と比較して基準価額の値動きが極端になり、指数が下がる時にはファンドの基準価額はそれよりも下落が激しいため、非常にギャンブル性の強い商品となります。

引用:目論見書

引用:目論見書
また、このファンドは暴落には非常に弱い性質を持っており、2020年のコロナショックなどの大きな暴落時には、指数よりもさらに大きな暴落のダメージを受ける事になります。

引用:モーニングスター
上のグラフは、通常のS&P500指数(オレンジ)とレバレッジを掛けたS&P500の基準価額(ピンク)ですが、コロナショック時にはレバレッジを掛けている方が大きく下がっている事も分かります。
さらに、このファンドのもう一つのデメリットとしては、一般的なインデックスファンドと比較して信託報酬が高めの設定になっていることです。
例えば「iFreeレバレッジ S&P500」と「iFree S&P500インデックス」を比較した場合、運用時に発生する信託報酬を比較すると、通常のインデックスファンドでは年0.2475%なのに対して、レバレッジ型ファンドでは年0.99%と約4倍の差があります。

引用:SBI証券
運用コストについては、このブログで何度も解説しているように、長期運用では最終的な結果に大きな影響を与えるので、この差をしっかり理解しておく必要があります。
「ツミレバ」は長期運用に向かない?
「ツミレバ」というのは、大和証券が提唱する「積み立て」と「レバレッジ」を掛け合わせた用語で、レバレッジ型ファンドを毎月積み立てて投資していく事で長期的に大きな資産となる事を期待した商品です。
しかし、この投資手法は長期投資には全く向きません。
その理由は、そもそもレバレッジ商品は「S&P500」や「NASDAQ」などの指数が投資対象となっていますが、長期になればなるほどこれらの指数からは乖離していく傾向があります。
これには、基準価額の変動の数学的なロジックが関係しています。
分かりやすいように例えると、とある指数とそれに連動する基準価額が10%ずつ一日おきに上がったり下がったりを繰り返すレバレッジ型ファンドがあった場合、1週間後にそれらがどのように変化するかを見れば分かりやすいと思います。

指数が10%上がって次の日に10%下がるという日を繰り返しただけなのにも関わらず、指数は元の100から始まって、7日目には97にまで下がってしまいました。
さらに、レバレッジ型ファンドの場合は毎日20%上がったり下がったりを繰り返すので、最終的な下落幅は指数よりも大きく、もともと100だったのが88にまで落ちてしまっています。
これがレバレッジ型ファンドの長期投資におけるリスク要因の一つではありますが、これは指数そのものが下落しているので、指数が下落せずに100に戻るような補正をした場合はどうなるのかみていきます。

上記の場合でも「レバレッジ型ファンド」は日々の変動の2倍の影響を受けるので、最終的に基準価額は下落してしまう事が分かります。
つまり、ほぼ上がり続けるの局面でなければ、レバレッジ型ファンドのメリットを享受する事はできないため、これも非常に高いリスクがあるといわれる要因です。
結論として「ツミレバ」は、時間が経てば経つほど指数からは離れていくため、長期投資には全く向かないという事になります。
金融庁も注意喚起しているレバレッジ型ファンド
ハイリスク・ハイリターンな商品であるレバレッジ型ファンドですが、2021年6月末に金融庁からこれらの商品に対して注意喚起を促しています。
金融庁は、投資経験があまりない個人投資家にとってはレバレッジ型ファンドの指数や指標が分かりにくい商品であるにもかかわらず、気軽に取引が出来るようになってきている事を懸念しています。
また、前項でも解説したようにレバレッジ型ファンドは短期的に利益を出す事を目的に設計された商品なので、中長期の資産形成を目的とした運用を目指している人は注意が必要と注意喚起しています。
金融庁は「レバレッジ型ファンドは中長期運用には向いていない」とははっきりは言っていませんが、大きなリスクを背負っている事を理解する事が必要だと言っています。
これらのリスクを知らないまま投資をして大きな損をしてしまう事を防ぐために、金融庁が行う取り組みとしては、レバレッジ型ファンドを販売する企業へ広告や説明義務の強化をしたり、レバレッジの範囲を限定するなどの案も改正案として出す取り組みを検討しているようです。
レバレッジ型ファンド(投資信託)の商品の種類
「レバレッジ型ファンド」について証券会社で購入できる代表的な商品をいくつか紹介します。
ちなみに「レバレッジ型ファンド」は、一般的な投資信託と上場投資信託(ETF)のどちらの商品もラインナップされていますが、今回紹介するのは一般的な証券口座で購入できる投資信託です。

「投資信託」と「上場投資信託(ETF)」の比較については関連記事で詳しく解説しているので、合わせてご覧ください。
2021年8月現在において、代表的な「レバレッジ型ファンド」の商品は以下のようなものがあります。
iFreeレバレッジ NASDAQ100
iFreeレバレッジ FANG+
iFreeレバレッジ NASDAQ次世代50
NYダウ・トリプル・レバレッジ
これらのファンドについて、簡単に紹介していきます。
ちなみに上記のファンドは全て「一般NISA」でも購入する事が出来るため、非課税で運用する事も可能です。(※注意、「つみたてNISA」では購入出来ません。)
iFreeレバレッジ S&P500
「iFreeレバレッジ S&P500」は、米国の大型企業500社に連動する「S&P500指数」に2倍のレバレッジを掛けた商品です。
このファンドの設定日は2018年8月31日となっており、現在の純資産額は約121億円となっています。
設定来からのS&P500と比較したチャートは以下の通りです。

引用:ヤフーファイナンス
2020年3月のコロナショック時では、S&P500よりも大きく値下がりしていますが、その後のS&P500の回復に伴ってぐんぐん上昇し、現在はS&P500よりも好成績で推移しています。
信託報酬は年0.99%とかなり高めの設定となっています。
iFreeレバレッジ NASDAQ100(レバナス100)
「iFreeレバレッジ NASDAQ100」は通称「レバナス100」とも呼ばれ、米国のNASDAQ100指数に連動しながら2倍のレバレッジを掛けた商品です。
ファンドの設定日は2018年10月19日で、現在の純資産額は約1,047億円です。
設定来のチャートの推移は以下の通りです。

引用:ヤフーファイナンス
NASDAQ100指数もコロナショックでダメージを受けていますが、その後の回復によってこのファンドも大きく値上がりしています。
一時期「レバナス100」という名前がネット上でかなり話題に上がっていましたが、コロナショック後の回復が早かった事が理由だと思います。
現在でも投資をしている人がかなり多い人気のファンドだと推察できます。
信託報酬は年0.99%となっており、通常のインデックスファンドと比較しても高めの設定です。
iFreeレバレッジ FANG+
「iFreeレバレッジ FANG+」は、「NYSE FANG+」という指数に連動し、これに2倍のレバレッジを掛けたファンドです。
以下はファンドの目論見書から抜粋した「NYSE FANG+指数」に関しての解説です。
NYSE FANG+指数は、これらの企業に等金額投資したポートフォリオで構成されています。
なお、「FANG」とは、主要銘柄であるフェイスブック(Facebook)、アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)、ネットフリックス(Netflix)、グーグル(Google)の頭文字をつないだものです。
※当指数は、四半期(3・6・9・12月)ごとに等金額となるようリバランスを行ないます。
このファンドの設定日は2020年8月19日で、現在の純資産額は約73億円です。
設定来からのチャート推移は以下の通りです。

引用:ヤフーファイナンス
上記は「NASDAQ指数」と比較チャートですが、このファンドは誕生してから日が浅いものの、かなりの好成績を維持している事が分かります。
このファンドの信託報酬は年1.275%となっており、アクティブファンド並みの高い設定といえます。
iFreeレバレッジ NASDAQ次世代50
「iFreeレバレッジ NASDAQ次世代50」は、将来的にNASDAQ100指数への組み入れが期待される銘柄で構成された「NASDAQ50」に2倍のレバレッジを掛けた商品です。
このファンドの設定日は2021年2月9日となっており、現在の純資産額は約9.2億円です。
設定来のチャート推移は以下の通りです。

引用:ヤフーファイナンス
このファンドは誕生してからわずか半年程度ですが、NASDAQと比較するとかなり不利な状況にあります。
現在では「レバレッジ型ファンド」のデメリットの部分が出てしまっている成績となっており、今後NASDAQの回復が見込めないと、このファンドが上昇していく事はなかなか厳しいかも知れません。
ただ長期的に見ればNASDAQも上昇していくと思われるので、このファンドを検討している人はそれなりの覚悟と長期的な視点が必要になりそうです。
このファンドの信託報酬は年1.169%となっており、かなり高い部類の運用コストといえます。
NYダウ・トリプル・レバレッジ(愛称:3σ)
「NYダウ・トリプル・レバレッジ(愛称:3σ)」は、NYダウ指数に3倍のレバレッジを掛けた商品です。
今回紹介しているファンドの中でも唯一の3倍のレバレッジを掛けた商品がこのファンドです。
このファンドの設定日は2020年3月30日となっており、現在の純資産額は約40億円です。
設定来のチャート推移は以下の通りです。

引用:ヤフーファイナンス
3倍のレバレッジというだけあって、NYダウ指数がほぼ横ばいに見えるくらいに好調な成績を出しています。
もちろん注意点としては3倍のレバレッジという事は、落ちるときも3倍になるので、今から購入を検討する人は慎重な判断が必要です。
このファンドの信託報酬は年1.1%となっており、高コストのファンドといえます。
まとめ
今回は「レバレッジ型ファンド」について解説してきました。
テコの原理を利用したハイリターンは非常に魅力的ですが、その裏にあるハイリスクにはなかなか目が届きづらいので、「レバレッジ型ファンド」の購入を検討している人は慎重に判断をする必要があります。
人によってはこのファンドは高い信託報酬を支払ってでも魅力的な投資商品かも知れませんし、私自身も購入すべきかどうか悩んでいるところです。
もし「レバレッジ型ファンド」を購入しようと思っている場合は、全額を投資するのではなく余裕資金で行うようにすることをおすすめします。

いずれにしても投資は自己責任の世界ですので、しっかり調べて納得した上で購入するようにしましょう。
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